KOZLIFE

LLFK-vol63 シーズン7 design 使いつづける

Season7「design」使いつづける 2023年3月9日

1日は24時間である。 これは人間が決めたルールであって、実は時間というのは、波のように速くなったり遅くなったり緩急があるんじゃないのか?最近そう思っています。相対性理論みたいな言葉を用いれば、世の中を物理的に見ていく話になりそうですが、そうではなくって、近い未来では時間のスピードは一定ではないのが当たり前になっていて、「今日ってやけに速く過ぎない?」なんて世間話で話す日はそう遠くないのかもしれません。LLFKを連載しはじめたのが2020年の3月。横浜のダイヤモンド・プリンセス号が…なんてニュースが飛び交っていた時期ですよ。あれから3年。
ここはみんなで声を揃えて一斉に言いたいですよね(笑)。せーの、「早い〜〜〜!!!!!」って。

さて、今回のLLFKは、そんな2020年3月から使い始めている物たちとの3年間、そして今の姿、KOZLIFEプロダクト長期レビューをお伝えしていこうと思います。

マインドセット

まさにステイホーム期間真っ直中に、気持ちの切り替えをするための道具として@aromaのkoというモバイル型のディフューザーを導入しました。最初は仕事モードに切り替えるために、リフレッシュ系のアロマオイルを日によって変えながら。以前のエッセイでも書いたように、20分で自動的に電源が切れてくれる(バッテリー駆動時)のと、音がとにかく静か。

LLFK-vol63 シーズン7 design 使いつづける

物を使うというのは面白いもので、使い始めて半年位経ってくると、一番使いやすい場所・そのプロダクトが最も機能する環境に勝手に移動をしていくんです。足が付いているわけでもないのに。最初は仕事場で使っていたのですが、段々と寝室で見る機会が多くなっていき、3年が経った今では完全に寝室専用に。気になっているアロマオイルを買ってきては、寝る時に一滴垂らし、koで香りを楽しんでいる間に眠りにつきます。

電池っていいね

使い始めた時には気づかなかったのですが、このディフューザーは乾電池が使えます。当初は「なんだ、充電式じゃないのか」とさえ思っていましたが、今ではそうじゃなくて良かったなぁと。というのも、他の電化製品の中でリチウムイオン充電電池が入った商品は、いつか必ず寿命が訪れるんですね。そして、中の構造が複雑なので自分で交換するのは大体不可能です。スマートフォンが良い例ですが、3年も使っていれば電池がへたってきてすぐにバッテリー切れを起こしてしまう。対して電池式であれば、中の構造がシンプルになるため壊れにくく、乾電池さえ替えればいつまでも使えます。繰り返し使える充電式の乾電池を使えば環境的にも負荷は低いし、ローテクノロジーではあるものの、ずっと変わらずに使える「乾電池式」は再評価されていくかもしれません。現にこのディフューザー、3年で一度も壊れた事はなく、そんな前触れも感じさせないように静かにいつも動いてくれています。

LLFK-vol63 シーズン7 design 使いつづける

新しい植物のその後

もうひとつ、この3年間ずっと変わらずに気に入っているのがPaper Collective Green Homeのポスター。第1回目でご紹介して以来、ずっとリビングで活躍しつづけてくれています。ポスターって割と飽きがくるジャンルのように思えますが、これは例外。当初から観葉植物的に扱っているからでしょうか、もちろん枯れる様子もなく、まさに植物を飾るように家の中の色んな所を移動してきました。そして、3年経った今の姿がこちら。

LLFK-vol63 シーズン7 design 使いつづける

以前はコンセントを隠すように壁に立て掛けていましたが、その役目は他のポスターに任せておいて本物の観葉植物が知らぬ間に集合。元々日当たりの良い所で育てているので、なぜかPaper Collectiveにも日差しが当たったりして、1日の中でも表情が変化するので今のポジションは気に入っています。

それから、フレームを変えた時だったでしょうか、表面のアクリルを外してみたんですね。すると今までの表情とはガラッと変わって、マットで落ち着いた印象に。今まで何も考えずにフレームに入れていましたが、敢えて前面のパネルを外してしまうのも良いと思います。(元々そうやってデザインされていたのかもしれませんが…)

少し話しが変わりますが、お米が美味しいと感じるお茶碗の選び方があります。それはお茶碗の「手触り」。持った時に触り心地が良いと人間は美味しく感じるメカニズムなんだそう。味が視覚や嗅覚だけでなく、触覚まで関わっているとは思いませんでした。食事って体全体で味わっているんですね。そういう観点で見れば、このポスターもしかりですが「手で触る」というのがいかに大切なのか考えさせられます。

LLFK-vol63 シーズン7 design 使いつづける

物の本性

新しい物を買った時は、嬉しくて毎日触ってしまいます。しばらくすると生活に馴染んできて、購入した時のようなキラメキが少しづつ減っていく。そして触る頻度も徐々に減っていく。
次に新しい物を買うと、興味はそちらに行ってしまって…そんな日々が続きます。
毎日拭いて綺麗にしていたのに、少しホコリがかかっていてもあまり気にならなくなってくる。
そうなるまで、おそらく半年くらいでしょうか。

僕は物を使うとき、こう考えています。
「物は使い始めてから半年経って、ようやく本当の姿を現す。」と。
少し気にならなくなった時位がちょうど良くて、ちょっと遠くからじーっと見て・近づいて触れて、「いいなぁ、やっぱり」としみじみ感じられれば、それは自分の生活に合っているだと考えるようにしています。

その時に湧くのがきっと「愛着」なんでしょうね。

つづく

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和田 健司 オランダDesign Academy EindhovenにてDroog Design ハイス・バッカー氏に師事、コンセプチュアルデザインを学ぶ。 同大学院修士課程修了。大手広告代理店勤務の後、2011年 “what is design?”を理念とする(株)デザインの研究所を設立。研究に基づく新たな気付きを、個人から企業まで様々な顧客に価値として提供し続けるコンセプター。(インスタグラム:@k_enjiwada