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LLFK-vol61 シーズン7 design 韓国のデジャイン

Season7「design」韓国のデジャイン ー前編ー 2023年1月19日

みなさま、あけましておめでとうございます。2023年と数字だけでは未来の様ですが、意外に僕達の生活って変わらないものですね。素敵な年末年始、過ごされましたでしょうか?昨年1年も色々な事がありました。いつも読んでくださる方も、たまたま通りかかったあなたも、全ての方にとって今年1年が幸せな年でありますように。そして今年も、ひとつでも、はっとするような「気づき」をお贈りできたら嬉しく思います。

あ、そういえば、ひとつ皆様に年始のお知らせがあります。2023年から僕、ワダケンジの個人Instagramのアカウントを開設しました。ちょっと笑える雑学から、気に入っている物の紹介や、LLFKの裏話まで多種多彩なコンテンツを投稿していきますので、良ければそちらもチェック・フォローしてくださいね。(@k_enjiwada)

7年ぶりのソウル

昨年12月の事ですが、仕事で1週間ほど韓国ソウルへ行く機会がありました。実に7年ぶりの海外出張。調べてみると韓国は、今日本から一番行きやすい国らしく、事前検査等も必要ありませんでした。飛行機で2時間程のフライト、到着した日のソウルの気温は、4℃。日本よりちょっと寒い位だからあんまり変わんないね、と高をくくっていた僕。翌日からは日中2℃、夜は−6℃みたいな日が毎日続きまして。「ソウル、めちゃくちゃ寒いやん!」と周りを見れば、みんな長いダウンコートみたいなの(ペディンと言うらしい)を着ています。冬本番になれば−10℃もザラのようですから、これから行かれる方は万全の防寒対策をしてくださいね。

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随分とご無沙汰していたソウル。以前から、どの位変わったんだろう?とカメラを片手に街を歩き回りました。韓国人の友人との仕事が目的だったので、観光地的な場所へは、ほとんど行かず、ご飯を食べに言ったり、感覚の赴くままただひたすらブラブラしていました。ですので、何か明快な情報を得た!という感じではないのですが、僕の目から見えた「現在の韓国」を前後編に渡って、お伝えしていきます。

カンナム・スタイル

今回滞在したのは江南地区。ソウル中心部を流れる漢江(ハンガン)の南側に当たる地域で、1970年代以降に急速に発展し、高級デパートや若者の集まるブティックなどが集積。江南はソウルで最も高級で新しい繁華街として注目を集めるようになりました。

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センスの良いホテルやカフェも多い、いわゆる表参道的な場所なので、休日はオシャレなお店を巡って多くの人々が歩いているのを想像しますが…ほとんど人がいません。カフェなどは満席なのに、なぜ?…とても不思議な感覚です。

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韓国人の友人に聞いてみると、「江南の人達は移動は基本的に車だから、歩いてウィンドウショッピングはしないんだ。大体どこのお店にもバレーパーキングがあって、店の前で車を乗り捨てて、店に入って、また車へ、みたいなスタイル。スターバックスでさえ、バレーパーキングだからね(笑)」と。 

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店の前にあるテントはそういう意味だったのか〜と納得。江南では、歩いてブラブラする文化がないそう。だから、歩いているのは観光客がほとんどだと言うのです。そんな事を言われた僕は、少々恥ずかしくなり百貨店の中に入ることにしました。

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アックジョンにある老舗高級デパート「ギャラリア」。ちょっとインテリアのフロアでも覗いてみましょう。ざっと見渡すと著名なブランドのショップが半分、韓国の伝統工芸のお店が2割、家電が3割、という感じでしょうか。友人が言うには、韓国はインテリアショップ自体が少ないそうなのです。

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これは、韓国の厄除けとして干物のスケトウダラを吊す風習があるそうで、それをハンドメイドの人形に仕立てたお守り。その大きな頭・目・口、たくさんの卵などは、古くから富の象徴とされ、干したものは人間が受ける厄災を代わりにかぶってくれると考えられてきました。色々な場所で飾ってあるのを見ていたので、なんだろうな?と思っていましたが、そういうことだったんですね。

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おっと、これはどこかで見たことあると思ったらferm LIVINGのShell Potじゃないですか。最近花を活けないでもオブジェとして存在感のある花瓶が気になります。

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ブルレック兄弟がデザインしたLGからリリースされているテレビシリーズ「The Serif」。残念ながら220Vのため日本での販売はなし。韓国の電源は全て220Vなので、ヨーロッパの照明や家電がそのまま使えるため、日本では見る事のできないプロダクトが結構あります。表紙の写真の照明も、イタリアmandalakiがデザインしたhalo。LED光源を敢えて増幅させたプロジェクターという形の照明で、無限のグラデーションが生むカラフルな夕焼けが楽しめます。

デジャインは、どこへ

イタリアのセレクトショップ10 Corso Como、韓国のデザイナーズブランドを扱うショップBoon The Shopなど、新しいスポットもこの周辺には多く、どれも行ってみたのですが扱っているのは欧米の物ばかり。うーん、なんかこう韓国の今のライフスタイルはこうだ!というような物との出会いは、残念ながらありませんでした。音楽や食は常に日本にいても伝わってくる位のトレンド感がある韓国ですが、プロダクトやデザインになるとどちらかといえば伝統的な背景のある物の方が目に飛び込んできて素敵に見えてしまう。でも、それは前に訪れた時もそうだったんですよね。

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友人と話していて印象的だったのは、「今、韓国人は、韓国の事をあまり好きではない。」と言うのです。「例えば、マッコリのブランドが製造を韓国で行い、敢えてニューヨークで展開をし、ある一定の評価を受けて、それから韓国へ逆輸入をしヒットをさせる。MADE IN KOREAは受け付けないけれど、MADE IN NEW YORKであれば人々は喜んで買う。」とも。日本のお隣さんとはいえ、価値観が全然違っていることに驚き、また同時に何となく寂しさを感じたのでした。

韓国語で、デザインの事を「デジャイン(ディジャイン)」と発音します。韓国語には、ザ行がないので、自然とジャ行になるそうです。大学院時代の韓国人のクラスメイトが「マイ、デジャイン、イズ…」と話してたのを聞いてから、それ以来、韓国語で話す“デジャイン”がずっと好きで。かっこいい印象ではなく、音からくる“ちょっと緩く、完璧じゃなさそう”な、肩肘を張らない言葉の表情が絶妙。

デジャイン、それは進んでいるようにも見え、遅れているようにも見える。ここに、韓国らしいデザインのエッセンスが隠されているんじゃないか、と思ったりするのです。

後編へつづく。

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和田 健司 オランダDesign Academy EindhovenにてDroog Design ハイス・バッカー氏に師事、コンセプチュアルデザインを学ぶ。 同大学院修士課程修了。大手広告代理店勤務の後、2011年 “what is design?”を理念とする(株)デザインの研究所を設立。研究に基づく新たな気付きを、個人から企業まで様々な顧客に価値として提供し続けるコンセプター。(インスタグラム:@k_enjiwada