京橋ワインのウイスキーへの想い
京橋ワインではウイスキーの取扱を開始します。
2000年の創業以来、『“驚き”“感動”“楽しさ”をワインと共に沢山の方へお届けしたい』という想いを抱き続けて25年になりました。
ワイン以外のお酒にも多くの物語があり、その中でもウイスキーは長い歴史と伝統があります。
各国で小規模な蒸溜所の開設が見られますが、特に日本において多くの蒸溜所が近年開設しています。
その創業者や経営者の方にお話しを伺うと、やはりワイン造りに通じる想いがあると感じました。
個性的で熱い想いを持った造り手に代わって、皆様にその素晴らしさを伝えていきたいと願っています。
コラム
日本ウイスキーが熱い
ここ最近、ウイスキーの消費は世界的に見るとアップトレンドのようであるが、特にジャパニーズウイスキーが世界中から注目を集めている。大手企業などのプレミアム製品が高値で取引されるなか、中国、アメリカ、フランスをはじめ、日本からの世界各国への輸出が急増している。
さて、国内におけるウイスキーの歴史を振り返ってみよう。敢えて泥臭く当時の世相にも触れるので、完全な事実ではない部分もあるかもしれないがご容赦いただければと思う。
11〜12世紀頃に端を発すると言われているアイリッシュやスコッチウイスキーと比較すると歴史は浅いが、鳥井信治郎が建設した日本初のウイスキー蒸留所である現サントリー「山崎蒸溜所」は1924年に竣工した。その直後に現ニッカウヰスキー「余市蒸溜所」、戦後には現メルシャン「軽井沢蒸留所」(2011年に閉鎖)や現キリンディスティラリー「富士御殿場蒸溜所」などが順を追って開設された。
戦前・戦中の状況説明は省くが、戦後の洋酒へのニーズの高まりを受け、ウイスキーの消費量は順調に伸びていった。1950年半ば〜1970年前半の「高度経済成長期」は、多くの国民がより良い明日を夢見てがむしゃらに働き、日々の暮らしの向上を実感していた時期である。同時に、熾烈な競争社会でもあったであろう。そのような環境下において、スコッチをトップとするウイスキーの厳然たるヒエラルキーは当時の社会の構図に合致した。「お前もいつかこんな酒が飲めるようになれよ」なんて言われながら、しかし、最初からウイスキーを本当に美味しいと感じて飲んでいた人はそう多くはなかったと私は考えている。それは、例えば、ワイン初心者がいきなり渋味のきいたフルボディの赤ワインを飲んだ時に感じる印象と似ていて、このような香味インパクトの強い「大人の酒」に慣れるまでには一定の飲用(訓練)期間が必要であり、しかしながら、一旦ハードルを超えると魅力的な嗜好へと変化し愛着が湧いてくるのである。
当時、会社からの給料などで収入が上がると、嗜む対象は上位ランクのウイスキーにステップアップしていくオケージョンがバーや家庭においても存在していた。高度経済成長期が終わった後もそのヒエラルキー構造は暫く続くが、イギリスからの外圧に押されるかたちで1989年にスコッチウイスキーの関税が撤廃されると価格が大幅にダウン、高級品として珍重する風潮が消え、日本国民のスコッチウイスキーに対する憧れも薄れていった。
日本におけるウイスキー消費量は、1983年をピークに20年以上の右肩下がりの時代が続く。その背景には、1989年の酒税法改正での低価格ウイスキー値上げによる消費減に加え、健康志向による焼酎や初心者でも飲みやすいRTD(ready to drink: 開けてそのまま飲める缶チューハイやカクテルの類)の台頭、スコッチウイスキーのポジショニングの低下、などの要因があったと推察する。そのような流れのなか、当時の若い世代にとっては、ウイスキーは既に親父世代の古臭い酒というイメージが定着していったと考えられ、ここに世代間の断絶が見て取れる。
ウイスキー復権のきっかけは言うまでもなく、サントリーを中心としたハイボールという古くて新しい飲み方提案であった。戦後の復興を支えた世代にとっては当たり前だったハイボールという飲み方が、それを知らない次の世代にとっては斬新に映ったのだろう。こうして、国内におけるウイスキー需要は2008年以降息を吹き返し、「竹鶴 政孝・リタ」のNHK連続テレビ小説「マッサン」の放送もあり国内需要はさらに勢い付いた。
しかしながら、ハイボールの原液、つまり、日本のウイスキーの品質や各製品の存在価値の高さはそれより少し前から急速に世界的に知られつつあった。2021年にニッカウヰスキーのシングルカスク余市10年がワールド・ウイスキー・アワードの前身であるベスト・オブ・ザ・ベストで1位を獲得し、その後立て続けに、メルシャン「軽井沢」やサントリー「響」「山崎」がレベルの高い国際コンペティションで金賞などを獲得するなどしてジャパニーズウイスキーの名声は一気に高まっていった。
この時期、ジャパニーズウイスキーの品質の高さを海外にアピールしてくれた人たちの貢献は非常に大きかった。日本の関係者をハブとして、故マイケル・ジャクソン氏をはじめ海外の著名なウイスキーライターの方々が日本に足を運び、日本の蒸留所を記事に取り上げ海外に情報を伝えてくれたのである。以外とこれらのことは知られていないかもしれないが、伝道師であった彼らの業績には大いに感謝すべきであろう。
直近では、グローバル化への対応として、国内で洋酒を製造販売する会社の多くが加盟している日本洋酒酒造組合が中心となり、日本における酒税法を遵守しつつ、日本の洋酒業界の自主規制として「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」を2021年に公表、世界からの信頼を確固たるものにするための礎を築いたことも重要な出来事である。
さて、ジャパニーズウイスキーの魅力やアイデンティティとは何であろうか? それは、蒸留所の哲学、ビジョン、品質、情報発信などからもたらされるお客様から見た統合的なイメージであろう。しかしながら、つくり手にとっては意識してできる部分とそうでない部分がある。前者は、製造工程での生産効率や品質の向上を目指したシビアなつくり込み、技術開発、後者の最たるは、樽熟成期間における周囲の自然環境であろう。各蒸留所でつくられたウイスキーの「品質」が違うのは当然であり、その違いは個性でもある。しかし、「品格」は別物である。言葉での説明は難しいが、品格が備わっている偉大なウイスキーは思わず人を黙らせ唸らせる力がある。これまでのジャパニーズウイスキーは総じて洗練されていてバランスがとれており純粋である。そこには、ウイスキーと向き合った際の根底にある日本人の生真面目さや繊細さ、飲食品の香味に対する独特の嗜好性が映し出されている。そして、例えば、スコッチと比較すると、これまでの日本におけるウイスキーづくりは伝統を重んじながらも常に進化させ自らの理想形に近づけようとする意識が強かったのではないだろうか。
現在のジャパニーズウイスキーの評価の高さは、華々しい海外での受賞歴、希少性や投機性、国内外の会社や関係者を介したマーケティングの結果でもあるが、たゆまぬ努力を重ねてきた先人のつくり手たちの想いがこもったウイスキー自体に「品格」が備わっていたからこそ達成できたと私は信じて疑わない。
現在の日本ではクラフトビールならぬクラフトウイスキーのブームが起きている。蒸留所の数は2015年頃から急増、かつての10倍程度に膨れ上がり、2024年現在では100を超えているようだ。ウイスキーであるが故に樽での熟成期間を要するため、ウイスキー製品として世にお目見えするまでにはもう暫く時間が掛かるものも多いが、総じて将来的なポテンシャルを感じ取れる酒質となっている。これらの新興蒸留所においては、伝統的なつくりを重視する蒸留所もあれば、従来とは異なる素晴らしい技術革新を導入している蒸留所もある。
いずれにせよ、「伝統と革新」の両方を大切にし、これまでにないような個性と品格がキラリと光るウイスキーの出現を期待したい。そして、現在のムーブメントが一過性のものではなく、しっかりと日本という地に定着し、多様性に富んだ新しいウイスキー文化が創出されると同時に、ジャパニーズウイスキー全体がさらなる進化を遂げるよう、心より応援したい。
蒸溜所一覧



1946年より製造を開始した東北唯一の地ウィスキーメーカー。2018年冬、創業の地から移築された伝統的な土蔵建築の蔵を「安積蒸溜所」として始動。安積平野に吹く磐梯颪の寒風と安積疎水の清らかな水が、風の蒸溜所といわれる安積蒸溜所の個性を生み出している。

2017年に鹿児島県の西岸、吹上浜で始動した蒸溜所。母体である小正醸造は明治16年(1883年)の創業以来、ウイスキーと同じく蒸溜酒である焼酎を造り続けてきた。この土地の豊かな特性や歴史、そして蔵人たちの革新的な発想をさらにウイスキーづくりへと引き継ぐため、二代目の名を由来とし、嘉之助蒸溜所は誕生。

2016年11月に稼働した長濱蒸溜所は日本最小クラスの蒸溜所。長濱蒸溜所で使用するポットスチルは、形状も非常に珍しく、他では味わうことのできない唯一無二の原酒を生み出している。熟成においても夏は暑く冬は寒い、という寒暖差のある滋賀県長浜市の気候でゆっくりと呼吸し、いつの日か必ず来る樽空けのその日までじっくりと成長し続けている。

栃木県小山市にて1872年より日本酒を造る西堀酒造の敷地内で、2022年春、栃木県初のウイスキー蒸溜所として誕生した「日光街道 小山蒸溜所」。蒸留酒製造においては、日本酒蔵というルーツに即し「國酒・日本酒の醸造技術を取り入れること」をポリシーとしている。当社の蒸留酒製造の発酵工程においては、純国産である「清酒酵母」を使用。

大正8年(1919年)にウイスキー製造免許を取得し、ウイスキー造りの古い歴史に培われた技術によって造り続けられてきたホワイトオーク。 日本のウイスキーの歴史と共に歩み、当たり前のことを真面目に守り抜き、心を込めて造られた国産地ウイスキー。「時の流れに身をまかせ、時がウイスキーを育ててくれる」現代科学をもっても解明しきれない熟成の過程を経て、琥珀色の神秘的なウイスキーが誕生する。

潮気を含んだ深い霧、清澄な空気、豊富な泥炭。北海道・厚岸の風土こそ、私たちの求める未知なるジャパニーズウイスキーの 風味をつくり出してくれると信じ、2016年に蒸溜を開始しました。この自然豊かな北の地で、日々、熟成が進んでいる。

1952年、明利酒類の創立者である加藤高藏と熱意溢れる職人たちによりウイスキー造りが始まったが、10年後火災で工場を焼失。以来ウイスキー製造を断念していた。2022年に約60年ぶりにウイスキー製造の免許を取得し、創立時の想いを引き継いで「高藏蒸留所」と名付け、発酵、蒸留、熟成の過程を全て、水戸市の明利酒類の土地で行っている。
タイプ別一覧
国産・輸入別により下記のように分類され、その中で各タイプが存在します。
ジャパニーズ | 日本洋酒酒造組合で定めた基準に適合した日本ウイスキー | シングルモルト モルト・ウイスキー グレーン・ウイスキー シングルグレーン ブレンデッド・ウイスキー シングルブレンデッド |
---|---|---|
ワールドブレンデッド | 国内で製造したウイスキーと海外産のウイスキーをブレンド | モルト・ウイスキー グレーン・ウイスキー ブレンデッド・ウイスキー |
国内製造ウイスキー | 海外産のウイスキーを日本国内で加工・瓶詰 | モルト・ウイスキー グレーン・ウイスキー ブレンデッド・ウイスキー |
海外製造ウイスキー | 海外で製造・瓶詰されたウイスキー。それぞれの原産地での法律に則って分類される | シングルモルト モルト・ウイスキー グレーン・ウイスキー シングルグレーン ブレンデッド・ウイスキー |
その他 | ニューポット、ジンなど |
単一の蒸溜所でつくられたモルト・ウイスキーで、他の蒸溜所が造ったウイスキーがブレンドされていない。以前はピュア・モルトなども表記もありましたが、スコットランドでは表記が禁止されています。
グレーンとは穀物のこと。その穀物のうちとうもろこしなどの穀物を主原料に、大麦麦芽を加えて糖化、発酵させ、連続式蒸溜機で蒸溜したウイスキー。
スコットラインがヴィクトリア時代に発明した偉大な資産。モルト・ウイスキーとグレーン・ウイスキーをブレンドしている。モルトの力強さと繊細なグレーの融合により、新たな高みが生まれる。各蒸溜所のブレンド技術を堪能できる。
単一の蒸留所でつくられたモルト・ウイスキーとグレーン・ウイスキーでブレンド。他の蒸溜所が造ったウイスキーがブレンドされていない。
フレーバー一覧
ウイスキーのテイスティングにおいて最も楽しい瞬間、それは香りを感じるときです。
京橋ワインはワインを専門としており、ウイスキーは専門ではありませんが、ウイスキーが好きで取り扱いを始めました。
みなさんがウイスキーを選ぶ際に想像しやすいカテゴリーや感じやすい芳香を主体に選んでいます。一緒に、好みのウイスキーを探しましょう!
はじめは大まかな香り(タイプ)を感じとり、徐々に具体的な果実やスパイスなどを思い浮かべましょう。
自分の好きな香りを見つけたり、香りの変化を楽しむことでよりウイスキーを楽しむ幅が広がります。

ウイスキーの香りの中でも明るく、前面に出てくる香りカテゴリー。柑橘系、核果(ストーンフルーツ)系、南国系など様々な果物の香り。果実の中でもやや苦みを感じさせる果実の皮の香りなどの表現もあります。穀物を原料に醸造・蒸留したウイスキーが果物の香りをまとうのは興味深いですね。

華やかな花のブーケに例えられるこのカテゴリーはウイスキーの中でも最も可憐で壮麗なタイプです。それぞれに特徴的な香りがありますが、花の色味と香りには一定の相関が感じられます。好みの花束を探すように試してみるのも楽しいですね。

ウイスキーの原料である穀物に由来するフレーバー。自然な甘みや香ばしさ、若干のほろ苦さを表現する際に使われます。また、樽熟成由来の木の実の香りも魅力。果実が原料であるワインには含まれ難い香りも多く、穀物系の香りはウイスキーの背骨を支える香りです。

スパイスやハーブは風味や香りを加えるために使われる植物由来のフレーバーです。ゆっくり香りを嗅いでいくと徐々に出てくる香りでもあります。スパイス系の香りは比較的想像しやすいかと思いますが、ハーブ系や草系は爽やかな青みがかった特徴があります。

木材を原料をした樽で長期間熟成させるウイスキーは、素材や処理ごとにバラエティーに富んだ香りが造られます。原料からだけでなく、貯蔵されていた樽材、熟成期間などさまざまな環境から生まれる無数の香りがウイスキーには潜んでおり、他のお酒にはない楽しみがありますね。

ウイスキーにはピートと呼ばれる泥炭由来の特長的な香りがあるものもあります。ピートは枯れたシダやコケ、葦(あし)などが積もってできた腐葉土で、燃やすことで独特のいぶした香りを発生させウイスキーの原料に染み込んでゆきます。ピートは産出地の気候風土の違いで香りが変わってくるのだとか。ウイスキーから海の香りがするというのも不思議ですが、これも産地の影響のひとつです。

煙っぽい燻したときの香りです。すすけて焦げたような風味で好き嫌いが別れますが、ウイスキーではハマると癖になる香りでもあります。原料の麦芽を燻す工程で付着しますが、熟成付着する樽由来のものもあります。

スイーツのような甘い香りは想像がしやすく、魅力的な香りです。ウイスキーによって使われる樽の素材や処理方法などによってことなる香りが出てきます。ウイスキーには糖分は含まれていませんが、上質なスイーツの代わりとして楽しむことができます。
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PLUM WINE CASK FINISH(箱入)
1823年創業、酒造り200年の歴史を持つ木内酒造。多様な酒造りで培われた技と感性を活かし、ウイスキー造りのあらゆる可能性と木内酒造ならではの個性を生み出せるよう、日本酒やビール造りの技師らが自ら蒸留システムを設計。