1966年ナパ・ヴァレー中心部のオークヴィルにロバート・モンダヴィ・ワイナリーを設立した故ロバート・モンダヴィ氏は 「ワイン造りは科学であると同時に芸術である」との信念をもって、ボルドーの醸造方法や最新の熟成法などの更なる技術革新・導入に取り組みました。ロバート・モンダヴィ社はカリフォルニアの様々な気候の土地を所有し、その土地に合ったぶどう栽培とワイン造りをするのが、非常にうまく、最もカリフォルニアを熟知している作り手と言えます。故ロバート・モンダヴィ氏はそのワイン産業に与えた功績により「ワインの世界的外交官」と言われる程。 1979年、フランスを代表するグラン・クリュ・ワイン「シャトー・ムートン・ロートシルト」とジョイントベンチャーを組み、「オーパス・ワン」を生産、1995年にはイタリアのフレスコバルディ社と組み、「ルーチェ」を生み出しました。
ロバート・モンダヴィは1913年6月18日、ミネソタ州ヴァージニアでイタリアのマルケ州から移民してきた両親チェザーレとローザの長男として生まれました。
父チェザーレは、ワイン用のぶどうを運ぶ仕事でカリフォルニアへ通いつめるうちに、その地に魅せられ、1923年カリフォルニア州ローダイに移住、そこで農園を開きます。ロバート・モンダヴィは若き日々をローダイで、家族用のワインを造る父の手伝いをしながら過ごします。
「ワインをアメリカ文化の中に浸透させようという私の情熱は、私の両親が中央イタリアから持ち込んだ価値観、伝統、そして日常の楽しみを、この若い国アメリカの地に深く根付かせたいという強い思いによるものである──そしてそれは、おいしい食事とおいしいワイン、加えて家族の愛なのだ」とロバート・モンダヴィは語っています。
1936年、ロバート・モンダヴィはスタンフォード大学を卒業。大学では経済・経営を専攻しましたが、ワイン産業で成功するにはワイン造りの専門知識と同じくらいマーケティングが重要だということを知り、その考えは以降の彼のワイン造りの根幹に大きく関わっていきます。
大学卒業後、ロバート・モンダヴィは当時、父チェザーレが共同経営者となっていたセント・ヘレナのサニーヒル・ワイナリーで働き始めます。モンダヴィ家はその後、ナパへ移り、当時ナパに6つあったワイナリーのうちの1つ、チャールズ・クルーグ・ワイナリーを手に入れます。これはロバートの進言によるもので、彼はこのワイナリーの設備が彼の野心的な計画を実現するのに絶好だと判断したのです。ワイナリーには100エーカー(40ヘクタール)のぶどう畑がありましたが、ロバートはただちにこれを高貴品種に植え替えました。「ここですごいワインが造れることはわかっていた。しかし、同時に私たち自身の能力を高め、技術を磨かなければならないこともわかっていたんだ」とロバートは述懐しています。
1959年にチェザーレが他界した後、ロバート・モンダヴィは、母ローザ、弟ピーターとともにクルーグ・ワイナリーの経営を引き継ぐことになります。当時のカリフォルニアではジャグワインと呼ばれる低品質のワインしか存在しない中、ロバート・モンダヴィはこの地で最高のワインを造りたいという情熱を持っていました。
チャールズ・クルーグ・ワイナリーでロバート・モンダヴィは、上級クラスのワインを少しずつ出荷し始めます。そして品質向上を図るため、この家族経営事業のテクノロジーの近代化を積極的に進めていきます。彼が行った新しい試みは枚挙にいとまがありませんが、初期の段階での一例を挙げると、ナパ・ヴァレーで低温発酵を大々的に試みた最初のワイン生産者となったことがあります。
1962年に初めて現地調査のためヨーロッパに出かけた彼にとって最大の発見は、ヨーロッパの洗練されたワインはすべて、オークの小樽で熟成させているという事実でした。
それまで巨大なアメリカ杉の樽でワインを熟成させていた彼は、異なるオーク材、異なる形で作られた樽を100個以上注文。
このフランス産オークの小樽が最終的にワインに素晴らしい奥行きを与えることがわかり、1966年に創立したロバート・モンダヴィ・ワイナリーで、この小樽熟成を導入しました。
このようなロバートの情熱は理解されずに、結局母、弟とは別の道を進むことになりました。そして1966年、53歳の時に息子のマイケルと一緒に「ロバート・モンダヴィ・ワイナリー」をゼロからスタートさせたのです。彼が目指すゴールは、ヨーロッパの伝統と技術をアメリカの最新テクノロジー、経営・マーケティングの専門知識と組み合わせることでした。1960年代末、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーでは低温発酵、ステンレスタンクやフランス産オーク小樽を試み、カリフォルニアに多くのワイン醸造技術を導入しました。またロバートの公私にわたるパートナーであるマーグリット・モンダヴィの発案で、ワイナリーでジャズやクラシック音楽のコンサートや美術品の展示会を開催したり、フランスの一流シェフを招いて料理教室を開くなど、さまざまな形で「ワインは食事と芸術を祝福し、ワインは素晴らしき人生の一部である」というモンダヴィ家の伝統を伝えていくのです。1978年にはローダイのウッドブリッジ・ワイナリーの運営を開始し、大規模なワイナリーながら伝統的な手法で高品質のワインを生み出すことに成功しました。さらに1979年には初のジョイントベンチャーとして、フランスのボルドーでシャトー・ムートン・ロートシルトを所有するバロン・フィリップ・ロートシルトと共同経営のワイナリーを創設し、「オーパス・ワン」をリリース。「文化や伝統の違いを取り入れ、ボルドーとカリフォルニアから最高の人材と技術を使って独自のスタイル、特色、格式を持つワインを造る」という構想を見事に結実させたのです。
1966年に創立されたロバート・モンダヴィ・ワイナリーでは、最高級のぶどうにふさわしい、最高品質のワイン造りを可能とするべく、1999年に創立以来初めてという大規模改築計画「ト・カロン・プロジェクト」に着工し、2001年、そのすべてのプロジェクトが完成しました。過去から学び、未来に前進させるというこのプロジェクトは、ぶどう畑でのさまざまな革新的な試みとヨーロッパで長く培われてきたワイン造りの伝統技術をうまく組み合わせるというもので、グラヴィティ・フローのコンセプト、オークの発酵タンクやバスケットプレスの導入などを実践しています。
グラヴィティ・フローを採用したこのワイナリーは、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーのリザーブ及びナパ・ヴァレーのワインを醸造、樽熟成するための理想的な生産施設となっています。グラヴィティ・フロー式ワイナリーは複数階建てで、ソーティングからタンクでの発酵、そして小樽熟成へと進む全醸造プロセスを通して、果実、果汁やワインの移動をポンプでなく自然の重力を利用し、優しく丁寧に行うものです。小さな籠に収穫されたぶどうはワイナリーに搬入されると専用エレベーターで中2階に上げられ、手作業で選別が行われます。そして除梗後、56基のフレンチ・オーク製の発酵タンクに移され発酵を行います。このフレンチ・オークのタンクでの発酵は、古来ヨーロッパで行われてきた方式で、赤ワインのアロマ、風味、複雑味を高めるといわれています。1年目のワインを貯蔵する地下セラーは、このフレンチ・オーク発酵タンクの真下にあります。理想的な温度、湿度、通気性を維持する地下セラーには、1300個のフランス産オークの新樽が積み重ねられることなく一層で並び、安定した状態でワインの充填、めつぎ、澱引きの作業が行われます。
ロバート・モンダヴィ・ワイナリーは1966年、ナパ・ヴァレー、オークヴィルのト・カロンに創立されました。ト・カロンはギリシャ語で「最高の品質」「最高の美」という意味で、その名のとおり風光明媚な美しい情景と、最高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンとソーヴィニヨン・ブランを生む場所として、ナパ・ヴァレーの理想郷といわれています。アーチと大きなタワーをシンボルとしたミッションスタイルのワイナリーは、あらゆる人々を温かく迎え入れ、かつ、最高のワインを生み出すナパの名所。ト・カロン・セラーと呼ばれるワイナリーでは、重力を使った優しい醸造工程と、フレンチオーク樽による丁寧な熟成過程を経て、ナパ・ヴァレーの魅力溢れるテロワールをワインに仕上げて、世界中の皆様にお届けしています。
ロバート・モンダヴィは、ナパ・ヴァレーにある固有なマイクロクライメット(微小気候)や地形の特徴を研究した上、その場所だからこそ生まれる明白な特徴をワインに生かすため、ナパ・ヴァレーの中でも特徴的な、おもに3つの区画(ディストリクト)のワインを使っています。
ロバート・モンダヴィの本拠地であり、ト・カロン畑もオークヴィル・ディストリクトに位置しています。カベルネ・ソーヴィニヨンは、熟したカシスやミントの風味があり、骨格のしっかりした、豊かな果実味のワインが生まれます。ソーヴィニヨン・ブランは1945年に植えられた古樹もあり、ふくよかでエレガントな風味をもたらします。他に、カベルネ・フラン、セミヨン、ジンファンデル、マスカット・カネリなども少量植えられています。 温暖で夏は30℃前後まで気温が上がります。夜間と早朝に出る霧の影響を強く受け、酸味のしっかりした果実が生まれます。西側は小石の混ざった堆積ローム土で、東へ行くほど火山性の重い土へと変わります。
ロバート・モンダヴィのシャルドネとピノ・ノワールは主にこの地域から生まれます。ナパでもっとも冷涼な産地の特徴を生かし、ミネラル感や適度な酸味と、凝縮した果実香をもつシャルドネとピノ・ノワールが収穫されます。サンパブロ湾からの海風涼風が吹きぬける冷涼なエリアです。夏でも最高気温は27℃ほどにしか上がらず、日中と夜間の気温差はあまり大きくありません。 粘土が多く、一般的に表土は浅いといわれています。堅い粘土の岩盤があることから、ぶどうの根が深く伸びることが難しく、そのため収量が少ないエリアです。
ロバート・モンダヴィのシャルドネとピノ・ノワールは主にこの地域から生まれます。ナパでもっとも冷涼な産地の特徴を生かし、ミネラル感や適度な酸味と、凝縮した果実香をもつシャルドネとピノ・ノワールが収穫されます。サンパブロ湾からの海風涼風が吹きぬける冷涼なエリアです。夏でも最高気温は27℃ほどにしか上がらず、日中と夜間の気温差はあまり大きくありません。 粘土が多く、一般的に表土は浅いといわれています。堅い粘土の岩盤があることから、ぶどうの根が深く伸びることが難しく、そのため収量が少ないエリアです。
ロバート・モンダヴィ プライベート・セレクションは大切な人とのプライベートな時間を豊かに過ごすことをコンセプトとしたブランド。「素晴らしいワインは畑に始まる」と考えるロバート・モンダヴィ。スーパープレミアム・ワインシリーズであるロバート・モンダヴィ プライベート・セレクションは、コースタル地域の秀逸なぶどう畑から生まれます。ロバート・モンダヴィのナパ・ヴァレー・ワインと同じように、このロバート・モンダヴィ プライベート・セレクションも、その産地の気候と土壌の特徴を最大限に表現しています。カリフォルニアのセントラルコーストとノースコースト両アペレーションの特色あふれる栽培環境の恩恵を受けて生まれるワインは、それぞれのぶどうの特徴ある果実の風味がいっぱいに詰まっており、親しみやすい味わいが特徴です。この生き生きとした果実味と卓越したバランスをもったロバート・モンダヴィ プライベート・セレクションは、「素材を大切にし、可能な限り手を加えない」というロバート・モンダヴィの信念に基づき、ヴィンテージごとに最高級のぶどうが収穫できるように努めています。ラベルはロバート・モンダヴィのシンボルであるタワーが、沿岸部に発生する霧に包まれているという幻想的なデザインで、このワインが、畑に発生する霧の影響でエレガントに成熟するという意味からきています。
ロバート・モンダヴィ プライベート・セレクションは、沿岸部を中心に豊かな自然に恵まれたカリフォルニア州のぶどうを贅沢に使用しています。各品種に適した気候と土壌が多様に広がっているのが、カリフォルニア沿岸部のぶどう畑です。
春と夏に霧の出やすいサンタルシア・ハイランズ・アペレーションは、ヴァレーを挟む二つの山脈によって引き起こされる風と、西側に立ちふさがるサンタルシア山脈がつくる日陰のおかげで冷涼な気候で、光合成がゆっくりと進むため、ぶどうの生育期間(開花から収穫までの期間)が長く、小粒で素晴らしい酸味をもつ凝縮した風味のぶどうができます。この気候と水はけのよい土壌が、シャルドネ、ピノ・ノワール、メルローに理想的な環境となっています。
モントレー・カウンティにあるぶどう畑は、太平洋から霧や冷たい空気を引き込み、その影響でぶどうの光合成が遅れ、生育期間の長いぶどうからは洗練された酸味や果実味にあふれたワインができます。この特色ある気候は海からの距離が離れるにつれてやや薄れ、非常に涼しい気候から温暖な気候へと変化します。 ピノ・ノワール、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラーを、栽培しています。
ローダイで育ち、当地ワイン葡萄の優れた評判を認識していたロバート・モンダヴィは、毎日楽しく味わえる良質なワインを造るために、自身の地元に着目しました。1979年に彼は、禁酒法時代後の1930年代にローダイのぶどう栽培者有志によりワイン 生産者協同組合として設立されたチェロキーぶどう園協会を取得。ウッドブリッジ近隣町の為にその協同組合の名前を変え、 赤と白のワインを作り始めました。ナパヴァレーで得た最先端の栽培・醸造技術を活用し、ロバート・モンダヴィはウッドブリッジ の品質と革新に対する情熱を一心に傾けました
私達がめざすこと、それは小さな伝統あるワイナリーのようにワインを造ることです。私達は25 年以上もの間、カリフォルニアでもっとも古いワイン製造地のひとつ、ローダイ地方で良質のワ インの製造に励んできました。最良の結果をもたらすために、どこにどのぶどう品種を植える かなど、何年もかけてこの土地について学び、ワイナリーでは、革新的な製造法を開発し、 私達のぶどう畑から収穫するぶどうの味わいを最大限に高めてきました。丁寧かつ実地に 基づいて生まれたあらゆる技術を畑、ワイナリーで駆使し、滑らかですばらしい味わいのワイ ンの醸造に努めています。数々の革新的な取り組みや最新技術を活用していますが、 私達は、いまだに多くの点で小さなワイナリーのようにワインを造っています。 ロバート・ モンダヴィ・ウッドブリッジは、小さなワイナリーの伝統がぶどう畑、ぶどうに息づき、そしてワイ ンを支えるすべての人々に誇りを与えていると信じています。それぞれのぶどう畑には、それぞれの土壌、気候、個性があり、 私達のチームは、ぶどうを注意深く選別し、それぞれが収穫に適した味わいに達したときに収穫を行っています。各ぶどう畑 のロットで個別のワインをテイスティングし、最終ブレンドに使用する、最高のワインを選出します。味わいと色味を自然に引き 出すために、赤ワインは、スキンコンタクトを長めにしています。ぶどうの皮に自然発生した酵母でワインを発酵させ、シュール・ リーや、時折澱を撹拌させることで、味わいにふくよかさがもたらされます。フレンチ・オークおよびアメリカン・オーク樽で熟成さ せ、エレガントで複雑な味わいのワインに仕上げます。このようにぶどうが自らの産地であるローダイ地域や、その他の 主要栽培地の豊かな恵みを存分に表現するように、手をかけています。
豊富な日照に恵まれたローダイからは果実味のふくよかでジューシーな果実が収穫され、一方、海からの涼しい風の影響をうけるコースタル(沿岸)地方からは、洗練された凝縮感のある果実が収穫されます。ウッドブリッジはこのように2つの特徴をもつ場所から収穫されたぶどうを使い、毎日楽しめる風味豊かなおいしいワインを目指しています。ウッドブリッジを生む畑では、その土地の個性を大切にワインに生かすため、注意深い管理が行われています。私たちは、最適な気候と土壌条件を持つぶどう畑に最適な品種を植えるよう日々研究しています。収穫期には、最高の状態で収穫するために、毎日畑で、ぶどうの糖分、味わい、酸度をチェックし、ぶどうが最適な熟度と味わいに達した時に収穫します。畑では自然農法(ナチュラル・ファーミング)の哲学に従い、鳥の巣箱を設置したり、害虫管理や土壌の再活性化のためにカバークロップを植えるなど、自然環境と共存しながら、大切にぶどうを栽培しています。
「ワイン造りは芸術であり、文化である」と語るロバート・モンダヴィは、実にさまざまな形で、文化・芸術活動、医療活動への支援を続け、その功績とリーダーシップを讃えられてきました。1996年に初の「カリフォルニア州フェアライフタイム・アチーブメント賞」を受賞。つづいて、ワインスペクテイター誌のリーダーズ・チョイス賞で、アメリカでもっとも重要なワイナリーに選ばれ、ハーバード・ビジネス・スクールアソシエイションでは「ビジネス・リーダーオブ・ザイヤー」を受賞。1999年にはニューヨーク市のソングライターズ・ホール・オブ・フェームから芸術後援者賞を受賞しました。ロバート・モンダヴィ氏がナパ・ヴァレーとワインと文化・芸術の融合のために始めた活動である「サマー・フェスティバル」等の音楽祭は、今も毎年大変な盛況で、ナパ・ヴァレーの名物となっています。
故ロバート・モンダヴィ氏は、2004年1月 英国ワイン雑誌ワイン・インターナショナル・マガジンで「ワイン業界で最も革新的な業績を残した人物」として表彰されました。