熟すと甘くなる柿を「完全甘柿」と呼びます。甘柿はシブオール(タンニン)が水に溶けない形で含んでいる為、渋みが無いかほとんど感じず、甘さが強く感じられます。 「富有」、「次郎」、「太秋」などがあり、少量の褐斑(ゴマ)を生じます。
250~300gの四角い形で完全甘柿で自然な甘さを味わえるのが特徴。樹上で赤く熟した実を収穫し外見はきれいなオレンジ色で糖度の高い柿。種はほとんど無く、カリッとした食感が楽しめます。
国内の甘柿では富有柿の次に多く栽培され、糖度は約16~約18度と高糖度で果肉がしっかりとしており、カリカリとした歯ざわりですが熟度が増すとトロリとした食感に変わります。
柔らかい果肉がお好みの方は、常温で数日保存すると柔らかくなります。
国内で一番生産量が多い柿の品種で、他の品種と比べて果肉の食感が良く糖度が高いことから「甘柿の王様」と呼ばれています。瑞穂市居倉(旧巣南町)には、富有柿が誕生した「原木」があり、指定天然記念物として石碑が建立されました。
果実は丸に近い四角形で、果皮は光沢があり滑らかな触りご心地です。甘味が強く果汁も多いのが特徴です。
富有柿と興津1号を交配育成された早生(わせ)の甘柿です。早くから食べられる甘柿として柿の季節到来をお知らせするかのような品種です。富有柿と同じく色も形も優れていおり、富有柿よりは少し偏平な形をしています。
ふっくらした扁平で四角い形状で、熟すと鮮やかな濃いオレンジ色になります。果汁も多く糖度が高い非常に美味な柿ですが、柔らかくなるのが早いという特徴があります。
「富有」の枝変わりとして発見された甘柿です。1935年(昭和10年)頃に京都府綾部市の柿園で見つかり、農園主である松本氏の名前から松本早生富有と名付けられました。富有柿と同じく完全甘柿で、外観や味も富有に似ています。果皮は濃い橙色で果肉は少しやわらかく、甘味も強くて果汁を多く含みジューシーな味わいです。 富有柿と異なるのは収穫時期。成熟期が富有よりの2週間ほど早く、10月中旬から11月上旬に収穫されます。
「早秋」は、「伊豆」に「109-27」(「興津2号」×「興津17号」)を交雑して育成した早生の完全甘柿です。果実成熟期は「西村早生」とほぼ同時期で、食味良好です。250g程度です。肉質はやや軟らかく緻密であり、果汁が多いのが特徴です。 また、へたと果実の間に隙間ができる「へたすき」がほとんど発生しないのもポイントです。早秋が熟す時期は9月中旬頃から10月上旬頃。早生種なので、柿のシーズン序盤から出回ります。
2010年3月に品種登録したばかりの、早田早生と甘秋を掛け合わせた鳥取県オリジナルの新品種。鳥取県の柿の主要品種「西条」「富有」「花御所」に先駆けて9月下旬から収穫でき、大玉(約300g)で糖度が約17%としっかりしているのが特徴。
200年の歴史を誇る花御所柿はJA鳥取いなば地方のみで栽培される幻の甘柿です。果肉はやわらかく、とろける滑らかな食感が特徴で、その甘さは甘柿の中でもトップクラスで糖度20度程と抜群の甘さです。
少し熟させることで、果肉がとてもきめ細やかなため、やわらかくて溢れんばかりの果汁が口いっぱいに広がります。
1995年に登録された品種。まるで梨のような歯触りで、他の柿にはない『サクサクッ』とした食感が楽しめます。また、果実はとても大きく、平均で320g(ソフトボールと同じくらい)程で、大きい物では、500gにもなります。果汁も豊富でとてもジューシー。 特にまだ表面に緑色が残っているうちに収穫すると、甘みもすっきり爽やかで、シャキシャキした食感が楽しめます。
種の量で甘さが変わると云われているのが「不完全甘柿」です。種の量が多いと褐斑が生じ甘くなり、種の量が少ないと渋くなります。
西村早生柿は1953年に滋賀県大津市のの園地で偶然発見された品種で、1960年に発見者の名前から『西村早生』と名称登録されました。
滋賀県では9月下旬〜10月上旬という柿の中でも最も早く熟す品種で、人気があつまり、現在では全国各地で栽培されています。
程よく果汁を含んでおり、糖度も15度前後と高く、しっかりとした甘味がありますが、さっぱりした味わいが特徴です。
果肉は粘り気が強く、カリカリした食感と少し硬めの歯ごたえのある食感です。
名前は果実の形が筆の穂先に似ていることが由来の、不完全甘柿である筆柿は、主に愛知県で生産され額田郡幸田町の特産として全国的に有名な品種です。
果実の大きさは100gほどの小ぶりで、比較的皮が薄く丸かじりできる珍しい品種で食べやすく、濃厚な甘味となめらかな食感が口の中で広がりコクのある味わいが特徴の柿です。
蓮台寺柿は江戸時代初期から伊勢神宮の外宮と内宮の間にある現在の伊勢市勢田町周辺で栽培されてきた品種であり、1958(昭和33)年に伊勢市によって天然記念物に指定された柿です。
なめらかな歯触りと深いまろやかなとろける甘味が特徴で、渋抜きされた果肉は緻密で歯がすっと入るほど柔らかく滑らかな果肉になります。
川崎市麻生区原産の柿で、1214年(建保2)に星宿山王禅寺の山中で発見されたと言われている品種であり、甘柿としては日本最古の柿として2007(平成19)年に麻生区内の禅寺丸柿の木7本が国の登録記念物に指定されました。
不完全甘柿である禅寺丸は、熟すと果肉に茶色いゴマが多く入った状態になると、とても甘くなります。
果肉はやや硬めで、サクッとしっかりとした歯触りの食感が特徴です。
熟しても渋み(タンニン)が残っている柿が「渋柿」と呼ばれます。品種によっては糖度が15度~18度前後もありますが、甘さに対して渋みが勝るので渋みを強く感じます。
明治時代に山形県鶴岡町の農家が、新潟県の苗木商から仕入れた苗木の中に、もとから種がない品種が混じっていたのを育成し、山形県の庄内地方で「庄内柿」として広がっていったとされています。
平核無柿は名前の通り、平らで種のない品種なので非常に食べやすい柿で、果皮の色は橙色で艶があり、甘みが強く、果汁も豊富で、果肉は硬すぎず柔らかすぎずの程よい食感が味わえます。
和歌山県では、ひとつ400g以上もある特大サイズのものをクイーンパーシモンという品名でも出荷しています。
刀根早生柿は奈良県天理市の柿農園で平核無柿の枝変わりとして発見された品種であり、『刀根』という名前は農園主の名前からきたもので、1980年(昭和55年)に品種登録されました。
平核無柿の枝変わりなのでよく似ており、大きさは240g程で形は偏平で四角に角張っており種はありません。
果肉はほどよいかたさがあり果汁が豊富。甘みが強く、まろやかな味わいが楽しめます。
紀の川柿は品種名ではなく、平核無柿を木に成ったまま脱渋する方法で栽培した柿のことを指します。
樹上完熟させるため、通常の平核無柿と比べ表皮の色が濃く、果肉は西村早生柿のように黒くなり、糖度が上がりとても甘くなっています。
食感は平核無柿と同じで、しっかりとした歯ざわりがあり、平均糖度は16~18度ほどもあるとても甘い柿で、和歌山県北部の紀ノ川流域で生産される特産品となっています。
突核無柿(ベビーパーシモン)は1981(昭和56)年頃に佐渡郡赤泊村(現佐渡市)の農地で発見された「平核無」由来の枝変わりとされている品種です。
岐阜県・新潟県で栽培されており、岐阜県では2014年頃からベビーパーシモンという商品名でに出荷されています。
果重20~50g、直径3cmほどの一口サイズの食べやすい小さな柿ながら、平均糖度は19~20度ほどもある強い甘味があり、皮ごと丸かじりにして食べられます。
太天は農林水産省果樹試験場安芸津支場において、1993(平成5)年に不完全甘柿の黒熊に、完全甘柿の太秋を交配して誕生した品種です。
晩生種の大果の渋柿であり、名前は『天から授かった、素晴らしい、大きな果実のカキ』からきています。
最も大きな特徴は非常に大きなサイズです。富有の約1.5倍のサイズで、平均でも500g程になります。
ジューシーで緻密な果肉は、熟すにつれて柔らかくなり、果汁も豊富で、糖度17度ほどのしっかりした甘さで優れた食味が特徴です。
愛宕柿は愛媛県が原産の渋柿であり、現在も愛媛県を中心に岡山など周辺地域で栽培されている品種です。
渋みを抜くのに時間がかかる品種のため、干し柿として加工されることが多いですが、真空パックをして渋抜きを行う方法が普及し生産量が増えていきました。
重さは230g前後で、大きなものは300gほどもあり、渋を抜いた愛宕柿は、ほどよいかたさと適度な甘味があり、さっぱりとした味わいが特徴です。
愛宕柿は愛媛県が原産の渋柿であり、現在も愛媛県を中心に岡山など周辺地域で栽培されている品種です。
渋みを抜くのに時間がかかる品種のため、干し柿として加工されることが多いですが、真空パックをして渋抜きを行う方法が普及し生産量が増えていきました。
重さは230g前後で、大きなものは300gほどもあり、渋を抜いた愛宕柿は、ほどよいかたさと適度な甘味があり、さっぱりとした味わいが特徴です。
祇園坊柿は古くから広島を中心に栽培されてきた渋柿であり、大型の果実は300g前後もある品種で、先が尖った形をしており、縦に四条の溝があるので、真横から見るとハートの形に見えるのが特徴です。
皮はやや厚めで艶があり、果肉は締りがあります。緻密で果汁も多く含んでいますが、渋柿なので、渋抜きが必要で、産地では主に干し柿として加工され食べられています。
四ツ溝柿は静岡県の愛鷹(あしたか)山周辺に自生していた渋柿で、名前の由来は果実の形からきており、横に切ると断面が角が丸い四角で、側面に西条柿などと同じように浅く溝が入っています。
90~140gほどの比較的小ぶりの柿で、脱渋された果実は、果肉が緻密で優しい歯触りで柔らかな食感で甘いのが特徴です。
西条柿は渋柿の一種で、干し柿として食べられてきたましたが、昭和になってからドライアイスを使った脱渋が行われ、生でも食べられるようになり、広く知られるようになりました。
縦長で側面に4条の溝がある形が特徴です。果肉はとても緻密でかたすぎず、柔らかすぎず絶妙の食感で、やさしく口の中で崩れます。
糖度も高いため、味わい・食感ともに優れた品種です。
身不知柿は「会津みしらず柿」とも呼ばれており、福島県会津美里町周辺で古くから栽培されてきた渋柿です。
会津の地域特産品として愛されており、毎年皇室に献上されることでも知られています。
渋抜き後の果肉は柔らかジューシーで、まろやかな甘みと果汁の多さが特徴です。
孝子丸は1983年(昭和58)に山形県鶴岡市で庄内柿(平核無)の枝変わりとして発見された品種で、1991(平成3)年に品種登録されました。
形が丸く腰高で一果重平均がやや重く、特性としては平核無と似ています。
脱渋後のはじめはカリッとした食感がありますが、熟すことにより柔らかいしっとりした食感が味わえ、緻密な肉質はくどさの無いスッキリした上品な甘味です。
長野県南部市田村を中心に古くから栽培されてきた小ぶりの渋柿であり、歴史はとても古く、500年以上前から作られていたと言われています。
渋柿のため、主に干し柿用に加工されることが多く、現在も盛んに栽培されており、市場に広く出荷されています。
「市田柿」=「干し柿」と思っている方も多いほど干し柿での知名度が高く、2007年(平成19)には「市田柿」のブランド推進協議会が発足し、全国に向けて美味しさと安心・安全なブランドの確立を進めています。
奈良県の旧西吉野村で古くから栽培されてきた渋柿です。
樹齢300年を超える樹からも発見されており、古来からその姿のままで現在も実を付け続けています。
大きさは90g前後で小さく、縦長の形をしています。タンニンが多い品種なので、渋抜きが難しいため、主に干し柿として加工されて食べられています。
山口県下関市に自生していた柿であり、今から約280年程前に発見された品種です。
その原木とされている木は天然記念物に指定されました。
富有柿より一回りほどサイズが大きく、やや腰高でヘタの部分が少しくぼんでおり、果実全体的に独特の丸みがある形をしています。
緻密な果肉はしっかりとしており、口に含むと柔らかくとろけ、糖度20前後の強い甘味が口の中で広がる深い味わいです。
鹿児島や宮崎など南九州を中心に作られてきた渋柿であり、160~200g程とサイズはやや小ぶりで高さのある丸い形をしています。
葉が隠れるほど多く実がなることから「葉隠(はがくし)柿」とも呼ばれており、全国的はこちらの名前が有名です。
現在では75%が熊本県で栽培されており、九州を代表する品種です。
水分が多く甘味が十分にあるため、干し柿にすると、もっちりとした食感と甘味に仕上がります。
葉隠柿は福岡県が原産地とされている渋柿であり、葉が隠れるほどたわわに実がなることが由来と言われています。
葉隠柿は晩生種で、11月中旬から下旬にかけて収穫時期に入ります。11月下旬から12月中旬あたりまでが収穫のピークとなり、吊るし柿向けにその時期に出回ります。
完全渋柿なので、脱渋するか干し柿にして食べますが、主に干し柿にされています。