KAHLER


今北欧でもっとも革新的なブランドのひとつがデンマークのケーラーです。ケーラーは斬新なデザインで、メーカーとしての商品開発だけでなく、コンセプトショップ、レストラン運営なども手がけています。そんなケーラーの歴史は1839年にまでさかのぼります。175年分の歴史と伝統を重んじながらも、大きな愛情を持って、北欧のデザインや美食文化を大切にする。それがケーラー社です。

ケーラー社は1839年に陶芸家のハーマン・J・ケーラー(Herman J. Kähler)が創設した製陶メーカーです。創設以来4代にわたり続いており、かつではトーバル・ビンデボル(Thorvald Bindesbøll)やスヴェン・ハンマースホイ(Svend Hammershøj)、カイ・ニールセン(Kai Nielsen)らの著名なアーティストがケーラーで活躍していました。デンマークの代表的なアーティストや陶芸家の多くがケーラーの作品を手がけ、国際的な美術陶芸品を制作することで、ケーラーはデンマークの陶芸史至上最も成功した工房の一つと言われるほどになりました。

しかし、100年以上の歴史を持つケーラー社は2008年に破産します。そんなケーラーを救ったのが、現オーナーのフランツ・ロンギ氏(Frantz Longhi)です。建築家であり、起業家でもある彼の手にかかり、今スカンジナビアで最も革新的であろう、ケーラーの新たな物語が始まりました。

今もなお、創業当時と同じ町であるネストベ(Næstved)に本社を構えるケーラー。昔と変わらず、ひとつひとつ熟練した職人の手で作られる陶磁器には温かみがあります。過去を捨てるのではなく、それまでに培ってきた芸術性あふれる伝統の陶芸から作風を学び、スティレベン(Stilleben)、ルイス・キャンベル(Louise Cambel)、ジャネット・リスト・アムストラップ(Jeanette List Amstrup)ら、才能ある現代のデンマークのデザイナーたちが、歴史ある伝統やテクニックを、時の枠を超えて新たな表現にアレンジし、作品に生かしています。

陶磁器の生産だけに止まらず、ケーラーは2010年デンマーク・オーフス(Århus)にコーヒーショップやレストランをオープン。そして、2013年にはコペンハーゲンにあるチボリ公園内にデザインレストランをオープン。ケーラーの世界感を通して、訪れてくれる人々に北欧デザインや食文化を身近に感じてもらうことのできるような、革新的なスカンジナビアの陶磁器メーカーであることを目指しています。