真鍮の名工集団
真鍮(BRASS)とは、一言で言えば、銅と亜鉛の合金である。その特徴としては耐食性、加工性、装飾性が挙げられる。
ゆえに、多岐にわたる産業や製品において重要な素材として利用されているが、特にトランペットをはじめとする金管楽器によく使われる材料として知られるのは、言うまでもない。
そして、その出来=音色が、銅と亜鉛を混ぜる比率によって変化するという。
そこに楽器としての個性が生まれ、それを仕上げにおいて、際立たせることもあるようだ。
例えば、銅70%+亜鉛30%のイエローブラスは、明るく、張りのある音色となる。また、銅85%+亜鉛15%のゴールドブラスは、幅のある豊かな音色を生み出す。
山本工業は、こういった真鍮の特性と50年以上向き合ってきた。
音色という、繊細この上ないものを生み出すための器具「楽器」の小部品は、車や飛行機の巨大な本体におけるエンジンと変わらぬ重要性と存在感がある。損なわれるわけにはいかない。
だからこそ、彼らは各現場でひとりひとりが、細やかこの上ない作業技術を鍛え続け、それを会社と自らの誇りとしている。
「一貫生産体制」。
それが彼らの特長の一つだ。
管楽器を通して真鍮をあつかう上で、曲げ、切削、ロウ付け、研磨など様々な工程を社内で完結させ、仕上げにはとことん外観の美しさを突き詰める。
その際には常に、「自らの加工技術を生かし切っているか」「真鍮という素材の魅力を引き出し、表現できているか」という自問自答が繰り返されている。