土楽の土鍋を長くお使いいただくために


はじめに・土鍋の特徴〜お使いいただく前に

土楽の土鍋は、伊賀の地でとれる目の粗い土を使い、手ろくろで土を引き延ばして作っています。
機械の型押しで陶土をつぶして作る量産型の土鍋と異なり、 陶土に含まれていた空気をより多く保っています。
この空気があるおかげで、直接火が当たるところばかりでなく、 土鍋全体がゆっくりとあたたまり、食材本来のうまみを引き出してくれるのです。

この特徴ゆえに、土楽の土鍋には、素地に小さな穴がたくさんあいています。 熱を加えることで膨張し、冷えると収縮します。
その際、ひびや貫入(かんにゅう:釉薬に入る細かいひび)が”あそび”となって、土鍋の変化を調節してくれます。
貫入(かんにゅう)の例。


よいひびや貫入が入れば入るほど、煮えやすくじょうぶな土鍋に育っていきます。
ただし、土鍋のふちや取っ手までひびが伸びているものは、割れに繋がる悪いひびですので使用をやめてください。

ひびは土鍋にとってなくてはならないものです。
使えば使うほど貫入が入り、煮えやすくて使いやすい土鍋に育っていきます。

このような特徴を持っているため、 土楽の土鍋をお料理でお使いいただく前に、かならずおかゆを炊いていただくようお願いしています。
お米のでんぷんによって、素地の目や貫入を埋めて、水漏れをおさえ、煮立ちがよくなります。

土鍋が届いたらまずすること

土鍋を購入したら、料理に使う前にまずおかゆを炊きます。(これを目止めと呼びます)
土鍋には貫入や気泡などが全体に入っているので、これを米のでんぷんで埋めて水漏れを防ぐのが目的です。

目止めの方法 ※軽く布で鍋全体を拭きます。


 〕椴未裡掘腺己目まで水を張り、大さじ3の米(またはごはん)を加え、弱火から徐々に加熱しておかゆを炊きます。

お米はひとにぎり程度(小麦粉でも代替可能です)
水を入れたらすぐに火にかけないと、目止めしていない土鍋から水が染み出てくるので注意。

弱火で2〜3分ほどあたためます。土鍋は急激な温度変化に弱いため、急に強火で加熱すると割れの原因になります。

中火(底に火があたる程度)まで温度を上げます。徐々に加熱していきましょう。

焦げ付かないように時折木べらや杓子で底を混ぜます。


◆(騰後は弱火にして、焦げないように混ぜながら適宜水を足し、おかゆがのり状になるまで約1時間炊き、火を止める。


煮立ったら弱火にします。


沸騰して減った分の水を足して、のり状になるよう煮立てていきます。サラサラした状態ではでんぷん質が不十分なので、米や小麦粉を適宜足してください。
火にかけてから40分〜60分ほど。十分にのり状になったのを確認して火を止めます。


 そのまま24〜48時間放置した後(夏場はおかゆが傷みやすいので24時間で十分)、おかゆを捨てて土鍋を洗う。
水気を拭き、裏返して乾燥させる。


じっくりと目をうめていきます。置き時間が短いとでんぷん質が浸透せず不十分な目止めになり、漏れや染み込みによる匂いの原因になるので注意。

土鍋を洗い、丸一日乾燥させたら目止めは完了です。


大事なこと(1) 火にかけるときは弱めの中火から

土鍋が冷えた状態で急に強火にさらすと、炎の当たる部分とそれ以外の部分の温度差が大きくなりすぎ、割れの原因になります。
土鍋を火にかけるときは弱めの中火から!じっくり時間をかけて鍋全体を温めましょう。

大事なこと(2) アツアツの土鍋はやけどに注意

熱い状態の土鍋を扱うときには、鍋つかみを使うなどしてやけどに注意してください。
テーブルに置くときは必ず鍋敷を敷いて。
ただし、新聞紙やぬれ布巾の上に置くと、焦げや割れの原因になります。

大事なこと(3) 粗熱がとれてから洗う

調理を終えたら、土鍋の粗熱が取れるまで洗わずにおいておきます。
急激な温度変化を防ぎ、割れないようにするためです。
また、土鍋は水分がしみこみやすく、汚れを長時間そのままにしておくと、においがついたりカビが生える原因になります。
残りものは早めに別の容器に移し、粗熱が取れたらなるべく早く洗って、水気を拭き、裏返しで乾燥させてください。




土鍋のトラブルシューティング

使ううちに土鍋にひびが入ってきた!

ひびは土鍋が育ってきた証拠なので問題ありません。

土楽の土鍋は、伊賀の地でとれる目の粗い土を使い、手ろくろで土を引き延ばして作っています。
そのため、土鍋の素地に小さな穴がたくさんあいており、熱を加えることで膨張し、冷えると収縮します。その際、ひびが”あそび”となって、土鍋の変化を調節してくれるのです。
ですから、ひびは土鍋にとってなくてはならないものです。
使えば使うほどひびや貫入が入り、煮えやすくて使いやすい土鍋に育っていきます。

ただし、割れの原因になるひびもあります。
土鍋のふちや取っ手までひびが入ってしまった場合は、火にかけると土鍋が割れてしまう恐れがあるので、使用しないでください。

ひびから水漏れするようになった!

おかゆを炊いてください。

でんぷんを含んだ料理を作ると水漏れが収まります。雑炊やうどんでもOK。おかゆを作る場合は、前述のレシピを参考にしてください。
半年に一度くらいの頻度でおかゆを炊くようにすると、ひびが安定してより長持ちします。
カケができている場合は、ごはん粒をつぶしてすりこみ、目止めをするとよいでしょう。

こげがこびりついた!

ぬるま湯につけてやさしくこすってください。

土鍋をぬるま湯につけてこげをふやかし、固めのスポンジで釉薬をはがさないよう注意しながらやさしくこすってください。
落ちにくいときは、スプーンの先でこげの部分のみをかき取ります。
こげがついたまま調理すると、その部分から更にこげが生じやすくなるため、定期的にケアして!

料理のにおいがついてしまった…

茶がらを入れて煮立てる!

土鍋に8分目まで水を入れ、茶がらをひとつかみ入れて10分くらい煮立ててみてください。お茶に含まれる成分がイヤなにおいを吸着してくれます。
新しい土鍋は5〜6回、煮炊きに使ってから油を使う料理をするとにおいがつきにくくなります。

かびが生えてしまった!

生えてしまっても、メンテナンスすれば問題なく使えます。

土鍋を水洗いしてかびを落とし、布巾で水気をしっかり拭き取ります。
土鍋に8分目まで水を入れ、酢大さじ2〜3を加えて10分くらい煮立てたら、さっと洗ってよく乾かします。
天日でしっかり乾かし、新聞紙で包んでおくとかびが生えにくくなります。プチプチなど、プラスチック製の梱包材は避けてください。



その他、土鍋を使うコツ

調理器具は、なるべく金属製より木製のものを使うことをおすすめします。
土鍋の素地や釉薬部分に傷がつかないようにするためです。
また、土鍋は揚げ物には向きません。
揚げ油が土鍋にしみこんで悪臭の原因になるほか、調理中、鍋にしみこんだ油に引火することもありますので要注意。


引用:「土鍋だから、おいしい料理」福森道歩著(PHP研究所)


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