CBX1000
純正マフラー復刻への挑戦

今では入手困難となってしまったCBX1000の純正マフラー。
表面だけ真似た模造品ではなく、緻密な測定データを基にした完全再現を目指します。
レストアではなく新品の復元、その挑戦への奮闘記です。

タイトル画像
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製造工程

製作開始

  • それでは製作開始!
    まずは3次元測定器でマフラー全体を測定、外観形状を3Dデータ化します。
    このデータを基にパイプの曲げ角や金型の形状を決めて行くので、慎重+精確に測定します。
    (マフラーがかなり大きいので計測するのに丸1日)

  • 測定データを元に3Dモデルを製作しました。
    フロントパイプとマフラーのモデルはこれでOK。
    しかしエキパイ集合部のプレス品が複雑で手強い!
    後回しにして、バラした後に単品で測定することにしました。

  • マフラーをバラして内部構造を調べます。
    適当に切ってしまうと製作手法が分からなくなってしまうので、
    そのあたりを考慮してバラすポイントを決めました。

  • エキパイをバラしていると・・・・・・穴を発見!
    内側のパイプの口元側にΦ4の穴が1ヶ所、出口側にΦ10の穴が2ヶ所開いています。
    おそらく二重管の隙間にも排気を通して容積を稼ぐ設計になっているのでしょう。
    これも忠実に再現します。

  • ディフューザーも分解して内部構造を調べます。
    パンチングの穴径とピッチ、グラスの種類、積層方法と分量が分かりました。

  • セパレーターだいぶ傷んでいます。
    これもパイプ径、板厚、穴径、容積など詳しく調べます。

金型製作 / プレス加工

  • いよいよ金型を製作。
    初めにバラしたプレス品を三次元測定器で計測します。
    曲面形状の計測が難しくなかなか精度が出ません。
    何回か測定して平均を取ることにしました。

  • 測定データを基に3Dデータを起こしました。
    曲面形状の測定がとても難しく3Dデータの製作だけで3日。
    かなり根気の要る作業でしたが、それに見合う品質のものができそうです。

  • 3Dデータを基に金型をマシニングで直彫りします。
    金型の材料は亜鉛とスズの合金で、鋳造も自社でやりました。

  • 金型完成!
    集合部は4枚のプレス品を使うのであと3セット金型を作ります。
    製作からここまで2週間が経過しており、納期に間に合うか心配になってきました。
    (しかしこの金型は会心の出来、プレスするのが楽しみです。)

  • 次に金型をプレスにセットします。
    この時、製品にしわが寄ったり亀裂が生じないよう、
    微調整をしながらベストな位置を決めていきます。

  • 試押ししたものを確認し、不具合箇所を洗い出していきます。

  • 完璧なプレスを行うために妥協せず、最終調整をリューターで行っています。

  • プレス完了!
    右側が純正品、左側が復刻品になります。

  • 上下のプレスができたらトリムをして、次の工程に備えます。

パイプ製作

  • 全バラ寸法取りしたデータを基に、忠実にパイプを再現していきます。
    (画像は二重管の内側パイプ)

  • 二重管外側のパイプと組み合わせ溶接します。

  • パイプベンダーを使用し、寸法どおりにパイプを曲げていきます。

  • 上が復刻パイプ、下が純正パイプです。

  • エキゾーストパイプ6本がやっとできあがりました。

サイレンサー製作

  • ようやくサイレンサー部の製作に取り掛かります。
    まずマフラーの内部構造を3Dデータ化してそれを基に冶具、金型を製作します。

  • とりあえず金型関係を製作しました。
    (文章で書くと早いですけど製作に10日かかっています。)
    冶具は後回しにして、子部品を製作していくことにしました。

  • 復元したディフューザー、違いは一目瞭然です。
    当時の音質を再現するためにパンチングの穴径からパイプ内径、
    グラスの積層方法まで徹底して純正と同じに作りこみました。

  • まずはセパレーターのプレス加工。
    真ん中のセパレーターは穴が9箇所もあいており、
    立ち上がり部の余肉を稼ぐのに苦労しました。

  • 念のためカットして板厚をチェック!問題ありませんでした。

  • 穴も忠実に再現し、セパレーターに通すパイプができました。

  • 仮組みし、納得の出来栄え。
    しかしこのマフラー、とても30年前の量産品とは思えないほど凝った作りをしています。
    (当時はH・Y戦争の真っ只中、ホンダの心意気を感じます。)

  • 純正と比べてみました。
    かなり精密に再現できたと思います。

  • 外筒を製作しサイレンサーをCOMPして行きます。
    まず初めに外筒のテーパー率を計算しCADで展開形状を製作します。

  • 展開した形状に鉄板を切り出し、板巻きします。

  • マフラーフロント側も板巻きプレスが終わりできあがってきました。
    できあがった製品を一つずつ丁寧にバフを掛けて、次工程のメッキ処理に備えます。

  • マフラーリア側も板巻きが完了したら溶接し、外筒にバフを掛け仕上げます。

  • サイレンサーインナーやエンドキャップを溶接し組み立てて行きます。

  • いよいよメガホンマフラーの組み立てです。
    やっとマフラー本体の形になってきました。

  • マフラー本体ができあがり、仕上げのバフ掛けです。
    この良否でクロームメッキのできが決まってしまうので慎重に作業を進めます。

  • 上が純正品、下が復刻品。
    メッキ後の仕上がりにご期待。

パイプジョイント部の製作 / メッキ工程

  • プレス加工で作ったジョイント部を摺り合せて溶接し、製作していきます。

  • エキゾーストパイプと先程製作したジョイント部を溶接して、一つの製品に組み上げます。
    エンジンとサイレンサー部を繋ぐ精度がいる重要な部分です。

  • 仕上げのバフ研磨。

  • こちらも純正部品とエキゾーストパイプジョイント部分を並べて写真を撮ってみました。
    メッキ後の仕上がりにご期待。

  • メッキされた製品が戻ってきました。
    ニッケルクロームメッキをかけると、ここまで美しくなるとは思っていませんでした。
    (画像では一部の雰囲気しか伝えられず...。)

  • 実車についていた純正品と比べると、まさにリセット!といった感じです。
    このエキゾーストセットを手にされたオーナーには、至福の時が絶対訪れると確信しました。

最終組み立て / 検査

  • これまで製作してきた各部品を一つの製品にまとめていきます。
    本当はこの前に治具に載せて位置決めして仮溶接をするのですが、
    企業秘密の部分なのでご勘弁ください。

  • 仮付が済んだらいよいよ写真の様にセッティングして本溶接を行います。
    メッキ後の加工工程なので傷が着いたり溶接のスパッターが付着しないよう、
    細心の注意を払って作業をします。

  • 実車にて組み付け確認を行い、各部の精度や取り付け時に問題点がないかを確認します。

  • 無事に取り付きました。
    まずはめでたしです。

  • これから販売するにあたり社内の厳格な試験を行い、
    不具合な点がないか更に確認して販売となります。
    完成までもう1歩!

  • それからご意見をいただきました刻印の件ですが、
    HM422のところの刻印をEN422と打刻することになりました。
    さまざまなご意見をいただきましたこと、この場を借りて御礼申し上げます。

  • いよいよできあがったCBX1000マフラーに火をいれます。
    ダイノジェットマシンに乗せてノーマルとの出力を比較確認します。

  • 結果はグラフのように全域でノーマルより出力が上回りました。
    (今回はCBXを壊さないように9000rpmまでの測定)

  • 次に音量の測定です。
    4500rpmにて91.8db~92.1db。
    純正よりも0.5db~1.5db低い数値の測定となりました。
    音質も良く、6気筒ならではのものです。

  • 最後に丁寧に梱包し、お客様のもとへ発送。
    以上、ご覧いただきありがとうございました!

MA2について

  • 「復刻した422用マフラーはMA2にも装着可能か?」
    というお問い合わせを、お客様から多くいただいております。
    以前MA2に乗って来られたお客様に無理を言って、装着確認を行わせてもらいました。

  • サイドバッグに干渉することなく一見綺麗に着いたようですが、
    確認すると現在の位置ではプロリンクのリンク部とクッションラバーのステーが僅かに干渉しそうです。
    スタンド類の当たる位置が違うので、クッションラバーの位置を調整したステーに変更する必要があります。

  • 今回の確認で問題点が大体わかりましたので、
    MA2に対応した仕様の422マフラー販売できるよう頑張ってみます。

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