みかんの甘さ 一概に「有田みかん」といいますが、皆様は有田みかんに どのようなイメージを持たれていますでしょうか。 もし「甘い」というイメージであれば、地元民にとって喜ばしいことです。 ここ和歌山県有田地方はみかんどころです。 有田在住で「農業を仕事にしている」人と言えば、ほぼみかん農家と言って良いほどです。 今回はそんなみかんの甘さについて、所見を書きたいと思います。 有田は見渡す限り基本的に山しかないのですが、大部分がみかん畑として農地活用されております。 夏も終わりに近づくと有田地方の山々にとある変化が見られます。 みかん畑内に踏み入ると、足元に無数の青い実が転がっているのです。 それは到底、まだまだみかんとは呼べない、スーパーボール程度の大きさのみかんの若い実です。 これは撤果、つまり、実が付き過ぎたみかんの枝からよけいな実を延々と千切って落とした跡なのです。 一本の枝にたくさん実が付きすぎると養分が分散され、一粒ずつの糖度が落ちてしまいます。 そのため、余計な分を捨てる作業が必要なわけです。 この撤果作業は真夏の暑さが厳しい時期に行われます。 みかん農家の皆さんは脱水症状と戦いながら みかんを甘くするために黙々とみかんを千切り続けます。 みかん農家の甘さへの追求は並々ならぬものがあります。 私の知っている撰果場では、みかんの糖度で等級と値段が厳しくランク分けされ、持ち寄ったみかんの果汁で糖度を測っていました。 当然のことですが甘いみかんを多く生産できる家ほど尊敬と収入を得ることができます。 不正を防ぐため、トラックに高く積まれたコンテナの何段目をサンプルとして糖度計測するか、サイコロをふって決めていました。 年の瀬の寒さ厳しい撰果場で、自分が作ったみかんにどんな評価が下されるか見守る農家さん達の表情からは、ある種殺伐とした雰囲気が漂っていました。 TPPへの参加表明がなされ、消費者にも観察眼を養う必要性がますます求められてくる昨今、 食品においてその良質さに比例するのは生産者の誇りであると思います。 |