梅みそ開発 先日、「梅みそ」という商品の開発に参加してきました。 「梅みそ」は甘味噌に梅肉を練り込んだ、梅の風味が香る、そのまま食せる調味料です。 開発、とは言っても、梅みそ自体のレシピは以前から完成しており、パウチ(※キャップ式のフタが付いた袋状の容器。従来、ジュース商品の容器として使用。)に炊き上がった「梅みそ」を封入する作業に従事してきた、というのが正確なところです。 ただ、パウチへの封入という作業は初めての試みで、「梅みそを、どのようにしてパウチに詰めるか?」という意味での「商品開発」ではありました。 午後、梅みそを炊く工場に出向いた頃には、約40リットル程の梅みそが、釜の中で湯気を上げていました。 工場にはもともと、スイッチ一つでジュースをパウチに注入できる専用の機械があるのですが、「梅みそ」の場合、液体のジュースに比べ粘度が高すぎるため、その機械が使用できない、という大きな壁がそのとき我々の前に立ちはだかったのです。 この打開策としてまず考案されたのが、小さな「じょうご」を使い、一つずつ手作業でパウチに梅みそを注ぎ込む、という方法でした。 しかし我々は梅みその粘度を甘く見ていたのです。 あの絶妙なトロミは、じょうごの筒の部分をそうやすやすとは突破していきません。 残念なことに、1パウチ180mlを詰めるのに十数分費やす、という絶望的な結果を叩き出すに至りました。 目の前の釜には、約40リットル超の梅みそが控えています。 くじけない我々が次に考え出したのは、灯油などを汲み出す際に使用する、手動のポンプ(赤い提灯みたいなのが付いたやつ)の導入でした。 ポンプ(勿論未使用の新品)を釜の中に突っ込み、梅みそを吸い上げたまでは良かったのですが、見事にチューブの途中でつまってしまいました。 またもや我々は梅みその粘度を甘く見ていたのです。 結果、期待を込めて、備品棚の奥深くから引っ張り出してきた手動ポンプは何の成果も挙げないまま廃棄処分されることと相成りました。 見かねた社長が 「ラー油を入れる容器を買ってくるので、それでパウチへの注入を行いなさい」 と言い残し、颯爽と飛び出して行きました。 ラー油を入れる容器・・・? 我々の頭に浮かんでいたのは、頭のボタンをワンプッシュする度に数滴のラー油が搾り出される、あの小さな瓶でした。 アレで40リットルをパウチ詰めしろ、ということか? 我々が徹夜を覚悟したそのときでした。 帰ってきた社長が購入していたのは、正しくはラー油ではなく、「餃子のタレ」を 入れておく容器でした。詳しく言えば、お好み焼屋のマヨネーズの入れ物、つまり 口の細い、搾り出せるタイプの調味料入れでした。 由々しき事態に直面し、さすがの社長も言い間違えたのでしょう。 それは確かに画期的なアイテムの登場ではありましたが、2パウチ詰めるごとに「餃子のタレ入れ」は空になり、その度に梅みそを補充せねばならず、少しでも気を許せば熱々の梅みそが我々の手のひらに襲いかかるという、厄介な側面を持った代物でもあったのです。 結局、4時間強を費やし、我々は軽い火傷と共に梅みそをパウチへ詰め終えました。 商品そのものは絶えず目の前にあるのに、ただ容器に移すことだけが出来ないというもどかしさ。 我々のそんな思いがつまった「梅みそ」は、少し滑稽なほど甘酸っぱい味が するはずです。 (ちなみに専用の機械の導入で、今後は労力も時間も飛躍的に効率アップするみたいです。) |