ラブリーレインリード、この素材を使ってリードを製造しているメーカーは、当店の知る限り、今、日本で弊社だけです。
当店がこのような特殊な素材のリードを作った理由は、多くの方々が探し求めているということを確信していたからです。
以前、同素材のランブルウォークメイトという輸入リードが他社より発売されていました。
アウトドアや、雨用などの用途でご利用される方が多かったのですが、このニーズをかなえるリードは、他にありませんでした。
その後、この輸入リードは廃番となってしまい、多くのお客様より、「あのリードが欲しい!」とお問合せを頂くようになりました。
代わりになるようなものはないかと探し続けましたが、日本でも、海外でもこの種類のリードを見つけることはできませんでした。

弊社には、商品開発委員会というスタッフが新商品を提案する委員会があります。
商品開発委員会より提案されたのが、雨対策用リード。
この提案に対し、他のスタッフから色々な意見が出ましたが、まとまったのが お客様よりお問合せが絶えない、ウレタン素材のリードでした。


「他にもうないのなら、自分達で作ろうよ!」

ラブリーレインリードの開発スタートです。
実は、それまでもこのリード作りにチャレンジしようとしたことはあるのですが、 丸く硬く太いこの素材をうまく組み立てる方法で壁にぶつかり、案だけで終わってしまっていました。
ですが、今回、スタッフから改めてこのリードの需要にこたえようという意見が出たことで、徹底的にチャレンジしようということになりました。

「制作開始に至るまでに行き詰まりの連続!」

商品開発委員会が窓口となり、素材探しからスタートです。
コスト、ロット、納期、太さや強度、柔軟性など・・・商談は行き詰りの連続です。
ASHUブランドで長年、リード作りをしてきた弊社にとっても、 初めての素材ですので、今までのようにはいきません。
数ヶ月の素材手配を進める中で、同時に問題になっていたのが、 実際、どうやってこの丸みのあるロープのような素材をリードや首輪にできるかです。

「安全なリードを作るための問題」

通常のリードであれば、革や生地なので、ミシンも通れば、金具で留めることもできます。
ですが、このウレタン素材はミシンも通らなければ金具で留めることもできません。
この素材をどのようにして安全なリードにすることができるのか。
実際これが出来なければ、素材を作ってもどうしようもありません。
色々な案がでますが、どれもうまくいきませんでした。
長年付き合っている弊社製品の工場全てに相談しましたが、全社に断られました。
リードの素材がようやく決まり出来上がってくるのに、これを製品にするすべがまだ見つかっていないのです。
問題は、はっきりしています。
手持ち部分を丸めて留める方法、ナスカン(首輪につなげる金具)をつける方法、 結局、縫うことも金具で留めることもできない丸くて千歳飴のような中身の詰ったこの素材を安全なリードとして組み立てるいい方法が見つからないのです。

「誰も作らない理由がわかるわぁ・・・」

弱音もでます。
この種の商品が他に全くない理由、それは作るためのハードルが高すぎるのです。
困り果てていた時、社長の頭によぎったのが、1人の親友でした。

1人で小さな工場を営んでいるその友人は、手先が器用で、大きな工場ではしないような 細かな仕事や一点もののバイクホローなどを作る仕事をしています。
彼の手にかかれば壊れたものも必ず何らかの形で復活するという知恵と工夫の宝庫のような人です。
この友人に抱えている問題を相談しました。
出た言葉が、

「絶対なんとかなるやろ!」

この友人にかけてみることにしました。

彼ならではのアイデアで特殊な素材を使って出来たファーストサンプル。
しっかり留っています。ただ、正直、固めているだけなら、かわいくない。
素材のウレタンロープは、きれいなショッキングピンクとレッド、ブラックの3色です。
せっかくこんなにきれいでカラフルな色なのに、 アウトドアや雨だけのスポーティなシーンだけじゃなく、 毎日のおしゃれリードとしても持ちたいな。

女性が持って楽しいデザインにしよう。
持ち手の留め部分は、ハートにすることにしました。
セカンドサンプルが上がってきた時、みんな「かわいい!」と絶賛しました。
プックリとしたかわいいハートとリードの色合いが女性的でラブリーです。
これは、お揃いの首輪も欲しい! でも、物理的にこの丸いものを首輪にするのは難しい。 そこで、ハーフチョークにすることにしました。 ようやく完成が見えてきました。 でも、問題もあります。

何しろ、一つ一つ手作りで作っているので、どうしても時間がかかる。
又、この留め部分は全て手作業で作っているので、 機械で作ったようにキレイなツルっとした仕上がりにならない。
表面に気泡のようなものが出たり、リード部分に素材がついてしまったり。
完成度を高めるために色々と試行錯誤してもらいましたが、100%とはいきません。

でも、この商品を作るためにたどり着いた最後の方法、一つ一つ手作業で作り上げるというこの製法で商品ができるのなら、そして、一つ一つ手作業だからこそ、 安全性を確かめながら製品を作っていけるというメリットがあると考え、 これで製品作りに入ると決めました。 形ができて、ようやく最終サンプル完成。立派な商品が届きました。

でも・・・最終の強度チェックで破損が起きました。

全て一からやり直しです。少しでも破損の可能性があるのなら、考え直さないといけません。
数ヶ月かけて作ってきた何種もの型も材料も全て破棄して、一からのスタートです。
そこから様々な実験を繰り返し、最終サンプルが出来上がるまで、約2ヶ月。
強靭なリードができました。

「バイクで引っ張っても大丈夫だったよ。」

友人の力強い言葉に自信がみなぎっています。
弊社のチェックでもOKが出て、ようやくここで“ラブリーレインリード”が誕生しました。
カラフルで楽しくなるカラー、ファッションを楽しめるデザイン、雨やアウトドアでも汚れない機能性。
苦労を重ね、完成した“ラブリーレインリード”と“ハーフチョーク”。

製品が完成した時、失敗を繰り返しながらも何度もチャレンジしてくれた友人への感謝の気持ちと、これでようやく待っているお客様に当店なりのご提案ができるという嬉しさで 今までにはない熱い思いがこみ上げてきました。
スタッフの声から始まった商品開発。

「求めている愛犬家の方がこんなにたくさんいるんだから、なんとかしないと!」

当店の思いと小さな工房がそんなお客様の思いを胸に、 ここにしかない“ラブリーレインリード”を完成させることができました。