シルク豆知識
 
繭の特徴
蚕は桑の葉を食べ、その養分を体内でタンパク質に変えて繭を作ります。
  蚕は繭の中でサナギになる蚕はタンパク質を口先から出して近くの葉に貼り付け、その後、頭をハの字に動かしながら体から液体を糸状に吐き出していきます。 1分間に60回ほど頭を振り、内側から何度も何度も糸を重ね、自分の体を包み込むシェルターの様な繭を作っていきます。繭は、自然界の強い日差しや雨風などの天災や、害虫から自分の身を守ります。
 
蚕の糸は約11%もの水分を保持しています。
  水分を豊富に保持する事で、自由自在に水分を吸収・放湿し、繭の中の湿度や温度を調節します。
シルクが、断熱・吸放湿性に優れているのはこの水分率のお陰です。
 
蚕が作るタンパク質は、10数種類のアミノ酸で構成されているフィブロインです。
  フィブロインは、紫外線を吸収し無害にする特徴があり、紫外線から蚕を守ってくれます。
シルクは一般的に紫外線カット率が9 0% 以上と言われています。それはフィブロインには紫外線を吸収して自己分解する力があるからです。シルクの糸や生地が黄変しやすいのはそのためです。
 
シルクは医療用、美容と健康のサポートを目的とした分野でも使用されています。
  生体になじみやすく、細胞が再生しやすいことから、生体適合性に優れたフィブロイン膜を使った人工皮膚などの実用化も近いと言われています。また、コラーゲンや天然保湿因子の原料になるほか、神経を鎮める作用、コレステロール値抑制や免疫力向上などの働きがあることが知られています。
 
 
繭の種類
繭は家蚕(かさん)と野蚕(やさん)の2種類に大別されます。
 

繭
例えば市場の魚には養殖と天然物の違いがありますが、養殖に該当するのが家蚕(マルベリー)です。
人工的に屋内で飼育されることから家蚕と呼ばれています。
数千年前から飼い馴らされ、現在でも各地で養蚕が行われ安定的な生産があります。繭の色は白く、太さは約 3 デニールと細く、伸度は約 2 パーセントです。

そして天然物に該当するのが野蚕(タッサー)です。
野外に放し飼いにし、自然のままに繭を作らせます。野外で飼育することから野蚕と呼ばれています。
繭は黄緑色で、太さは約 5 デニール、伸度は約 40 パーセントです。 軽さと嵩高性、優雅なダル光沢、ハリ、コシ、独特のきしみ感が特徴です。野蚕は自らの力で原始林の中で野生的にたくましく生きています。更に最近のエコブームもあり「野生のシルク」として、近年急激に脚光を浴びてきています。

 
 
シルクの分類
生糸 / シルクフィラメントヤーン
  繭から最初に取れる糸を「生糸」(きいと)と言います。

糸は繭の中で接着しているので、順序良く解きほぐすために、繭を丸ごと茹でます。そして蚕が最初に葉っぱに口を付けた所から順に糸を引き出していきます。その長さはなんと約1000メートルにもなります。生糸は天然繊維の中で唯一、細長く連続した「長繊維」(ちょうせんい=フィラメント)です。
  生糸の太さは人の髪の毛の十分の一もの細さです。

日本人の平均的な髪の毛の太さは直径約 0.08 ミリ、これを糸の太さを表す単位に換算すると約50デニールになります。それに対して繭1個から取れる糸の太さは3〜5デニールととても細いものです。
製糸工程では繭1個からの糸だけでは細く、繭ごとに太さのばらつきもあるので、繭を5〜7個合わせて生糸を繰り取り、目的の太さに合わせて撚り合わせていきます。手芸糸で極太糸(1/1Nm)を作る時には合計9000デニールほどまで撚り合わせていきます。繭で計算すると、なんと3000個分にもなります。
番手 デニール 必要繭数
1/2.1Nm(並太) 4200デニール 1400個
1/1Nm(極太) 9000デニール 3000個
1/0.5Nm(超極太) 18000デニール 6000個
 
絹紡糸 / スパンシルクヤーン
  原料に「生皮芋」(きびそ)や「 皮巣 」(びす)など、生糸を取る際の副産物を紡績して作られます。

「生皮芋」(きびそ)は、蚕が最初に吐く繭の外側部分、「皮巣」(びす)は、蚕が最後に吐く繭の内側部分のことです。両方とも生糸にはなりませんが、 水溶性のたんぱく質が豊富に含まれています。絹紡糸は、その部分を伸ばし広げて太い綿の棒状にし、そこから紡がれる糸です。生糸に比べると、光沢、艶、強力は劣りますが、シルクの短繊維の中では絹紡糸が最高級です。
   
絹紡紬糸 / シルクノイルヤーン
  原料に、絹紡糸を作った際の副産物を紡績して作られます。

絹紡糸の短繊維を再利用した綿染商品であることから「エコロジーシルク」ともよばれています。
生糸や絹紡糸のように光沢のある素材ではなく、ナチュラルで素朴な表情を持つ素材です。かつ、短繊維による空気の含有率も大きく、製品は軽く仕上がり、絹本来の保温性、吸湿性にも富んでいます。
   
それぞれの特性と主な商品
 
  特徴 主な商品
家蚕生糸   シルクの中で一番光沢があり、糸は軽くしっとりしている。
光を当てなくても光沢を感じることが出来る。


 
野蚕生糸   独特な光沢があり、糸は家蚕生糸よりも固くざらつきがあり、糸を触ると「キュッキュッ」という新雪を握った感じがする。

ハギ
カリン
 
家蚕絹紡糸   生糸よりも重みがあるが、優しい光沢があり柔らかい。   BON60
トリル
カメリア

アネモネ
家蚕紬糸 シルクの中で最も光沢がなく、肌触りは綿に似ている。 GINGA
シルクツイード
花紬
プリムラ