クエストコーポレーション

県警も導入。クエストコーポレーションさんの“マルチコプター”を取材してきました♪

NAGANOマルシェ取材隊

葛飾北斎とおいしい栗で知られる古都・小布施町。観光スポットがひしめく中心街の喧騒から一歩離れると、栗やブドウなどの果樹園が続く田園風景が広がります。そんなのどかな一画に本社を構えるクエストコーポレーションは、ラジコンヘリやマルチコプター(ドローン)の国内屈指のトップメーカー。ラジコンヘリの競技大会では同社製のヘリが上位を独占するなど、高性能なラジコンヘリに定評がありますが、その技術力を活かし、近年マルチコプター(ドローン)の製造にも着手しました。クエストコーポレーションのマルチコプターは長野県警にも採用され、御嶽山の不明者捜索でも活躍するなど注目を集めています。今回はクエストコーポレーションの創業者にして社長の神戸博之さんにお話を伺いました。


― 最近、マルチコプター(ドローン)が話題になっていますが、マルチコプターってそもそもどういうものなんですか。

ヘリコプターの特長である大きな翼は回転翼と呼ばれているのですが、回転翼が1つか2つのものがヘリコプター、3つ以上あるものがマルチコプターです。回転翼が複数あると安定性が飛躍的に向上します。そこにGPSなどを用いた制御技術が加わることで、精度の高い空撮などに利用できるようになったんです。マルチコプターには有人航空機もありますが、クエストコーポレーションが手がけているのはラジコンヘリなどの無人航空機です。ちなみに「ドローン」は、ラジコンなどで遠隔操縦ができる無人のマルチコプターのことです。ドローン(drone)という言葉は、ハチなどの羽音を意味する英単語です。飛んでいるときの音が似ているからそう呼ばれるようになったんですね。

マルチコプター01

― なるほどー。マルチコプターはどんな用途で利用されているんですか。

やっぱり空撮の需要が大きいです。建設現場や土木工事現場では、報告のために工事前・工事中・工事後の写真が必須なんですが、空撮だとわかりやすい写真を簡単に撮ることができるのでご好評をいただいております。例えば護岸工事の場合、川の真上から空撮すれば工事の全貌が1枚の写真に収められますが、河川敷からだとそういう写真はまず撮れません。建物の屋根工事の場合も、上空から撮影すると屋根の傷み具合が一目瞭然です。

マルチコプター02

― 災害現場でもクエストコーポレーションさんのマルチコプターが活躍していると聞きました。

長野県警に導入いただいておりますので、災害現場の調査やイベントの警備などで使用されています。御嶽山の行方不明者の捜索では、人が立ち入ることのできない噴火口付近などの調査に使われました。
交通事故の現場検証にも役立っています。事故現場というと道路にテープがたくさん貼ってあって、散乱している部品とかもそのままになっているじゃないですか。マルチコプターで空撮すれば、上空から事故現場を一望する写真が短時間で撮れますので、とても効果的だと思います。


― いままで難しかったことが簡単に行えるようになるんですね。

マルチコプターによる新たなビジネスの可能性とても大きいと思います。マルチコプターもラジコンヘリも、従来より安定性や制御技術が飛躍的に進歩しています。無人ヘリコプターといえば農薬散布用を思い浮かべる方も多いと思いますが、これまでよりも低空での安定した飛行が可能になったので、2mくらいの高さから人の手と同じくらい正確に散布することができるようになりました。これで誤って別の田畑に撒いてしまうようなミスはなくなりますよね。ちょとした技術の進歩が大きな可能性を生み出すんです。

マルチコプター03

― 初心者でも簡単に操作できるんですね。これなら私でも操縦できそう。

確かにGPS制御なので操作は簡単で安全性も高いのですが、天候の急変や故障など何らかの不具合があったときが問題なんです。
故障等はまずないのですが、自分でマニュアル制御しないといけない場面に備えておくことはとても大切です。


― そうですよね。マルチコプターの事故はときおりニュースになっています。

最近、マルチコプターの事故などがよく報道されていますが、事故のほとんどは機体の性能の問題ではなく、操縦する人の技術が低いことが原因なんです。クエストコーポレーションでは、ラジコンヘリやマルチコプターの初心者向けの講習会を随時開催しています。
操縦するユーザーの皆さん全員が確かな技術を身につけることが、ラジコンヘリ・マルチコプターのシーン全体にとっても大切なことだと考えているんです。法律は一律に規制する方向ですが、資格制度などの導入も必要だと思います。


― それでは、今回出品している製品について教えてください。

ラジコンヘリとマルチコプターの両方を出品していますが、どちらも「NAGANOマルシェ」限定バージョンです。ボディのカラーも限定カラーです。
マルチコプターは700mmクラスをベースに、組み立てや調整が必要のない、初心者でも簡単に空撮ができる「空撮コンプリートセット」としました。カメラが趣味なんだけれどラジコン関係は詳しくないという方向けの製品ですね。最大積載量は1.0kgなので一眼レフカメラも搭載できます。ラジコンヘリは、選手権でも活躍している人気機種「インパクション E12S」をベースにした高スペック機種です。

  • マルチコプター04
  • マルチコプター05
  • マルチコプター06

― クエストコーポレーションの機種の魅力ってどんなところにあるんでしょうか。

企画から設計、開発、製作、販売、さらにはアフターサービスまでを一貫して全部やっているところは日本でもほとんどないと思います。一貫体制をとれることがクエストコーポレーションの最大の強みですね。ラジコンヘリもマルチコプターも、フライトコントローラー(操縦装置)以外のすべてが自社設計の自社製作なんです。マルチコプターの下部にある撮影の制御装置や、フライトコントローラーにオプションで付く撮影画像の確認モニターなども自社オリジナルです。部品の切り出しや研磨も自社で行っているので、一つひとつのパーツに対して細やかな調整が可能なんです。一貫生産なので一人ひとりのニーズに対応したオーダーメイドも可能です。

マルチコプター07

― まさに「好きこそものの上手なれ」ですね。

もともとは全然別の製品を製造していたのですが、私自身がラジコン作りのマニアだったので、いつのまにかそちらが本業になっていったんですよ(笑)。趣味で模型づくりをしていた頃から数えると、ラジコンヘリ製作歴30年以上です(笑)。メーカーではなくユーザー目線で考えられるので、それがものづくりに活かせているのだと思います。

マルチコプター08

― 丁寧なものづくりが高品質を可能にしているんですね。

それに長野県は、私たちのような精密なものづくりにとても適した環境なんです。精密工業にはきれいな水と空気が不可欠ですし、高度なものづくりを行う風土があります。

マルチコプター09

初めて間近で見るマルチコプター&ラジコンヘリの飛行風景におおはしゃぎの取材隊。神戸社長をはじめとするスタッフの方々も長時間にわたってデモンストレーションを披露してくださいました。みなさん、操縦している姿がとても楽しそうなんです。ラジコンヘリに対する愛情がひしひしと伝わってきました。「最近はラジコンヘリに興味を持つ若い人が減ってきているようです。とてもロマンある遊びだと思うんですけれどね。機体を造るだけではなく、ものづくりの楽しさも伝えていきたいです」と神戸社長。空撮に興味がある、ラジコンヘリに憧れている。そんな方はこの機会にぜひチェックしてみてくださいね。


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